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phrase35 ページ37

「遊木真くん」

「は、はいぃっ!?」


 カチコチな真くんが、おばけや妖怪に声をかけられたように肩を跳ねさせた。


「あなたは全然ダメ」

「全然ダメ!? そ、そりゃあ明星くんや氷鷹くんに比べたら歌も踊りも下手だけど!」

「自覚してるならいいわ。でも、そう卑下(ひげ)しなくてもいいわよ?」


 率直に突き刺さった刃。

 さすがにショックだったのか涙目になる真。


「あなたは光るものを持っているわ。でも、それを自ら放り捨てている」


 探りを、いれているのだろうか。

 問いかけるような言葉を並べている。


「北斗くんのように、遠慮しているわけでもない。怖がっている、自分を出すのを躊躇している......そんな感じかしら。

 何を、そんなに怯えているの?」


 真は返事をせずに、痛みを堪(こら)えるみたいに顔をしかめた。

 そんな表情が嫌いなのか、Aは眉を下げた。


「安心しなさい。あなたの仲間は、みんな良い子よ。打てば響く、共に並んで歩いてくれるはずよ。

 迷惑をかけないよう、一歩遅れてついていく____そんな調子では、あなたは永遠に追い付けないわ」


 さすが『プロデューサー』と言うべきだろうか、他者を理解し的確な助言を与えている。

 心の深いところまで把握し、傷つけないよう、壊れないよう気を遣いながらよ、強く育てようとしてくれる。


「待たせるの、優しい仲間を。それは罪悪てすらあるわよ、足りない自覚があるのなら、死にもの狂いで努力なさい」


 壊れた人形のように項垂れて突っ立った真の頬に、Aは手を添える。

 瞳の遥か底の底に、悲しみの色を浮かべて。


「そして胸を張って、あなたの仲間の横に並びなさい。そのために必要な才能は、輝きの萌芽(ほうが)は、すでにあなたの中にあるわ」


 無機質とすら思える人間味のない態度になった真の双眸(そうぼう)が、人間性を主張するように、迷うように動いている。

 その視線が、北斗を、スバルを捉える。

 Aの手が彼の頬から離れる。


「それはかつて、あなたを傷付けたものかもしれない。それがあなたの、たったひとつの武器なのよ。

 それを、最大限に活かすといいわ」


 真は勇気を奮い起こすように拳をぎゅっと握りこんで、Aを見上げる。

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- この作品の続編ですが、最新作はオリジナルフラグが外れておりません。違反行為ですのでちゃんと外して下さいね (2018年8月9日 18時) (レス) id: 93bb7a0f46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白銀桜夢 | 作成日時:2017年10月29日 17時

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