crazy love (ページ11)

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中村side

『お邪魔しました〜』

まつくがそう言いながら俺の家を出ていく

俺も学校があるから、まつくの後を追って家を出る

「まつくってさ礼儀正しいよね」

『え〜そう？』

昨日からずっとまつくを見ていたけど、食べた食器は自分で洗ったり、何かを使う時はわざわざ俺に言ってきてくれたり、ほんとに礼儀正しい人なんだなって思った

『けど、ママが礼儀だけはちゃんとしときなさいって言われてたから』

「めっちゃいいお母さんじゃん」

『うん。死んじゃったけどな』

「え？」

話を聞くと、まつくのお母さんは不慮の事故で亡くなったらしい

「なんかごめん、、」

『ううん。大好きなママだから話せれてよかった』

「だから、元太の家にいるの？」

『いや。俺ん家普通にパパいるし』

「え？じゃあなんて元太と？」

『ん〜とね、元太の両親海外住みで元太一人暮らししてるから、ちょくちょく泊まりに来てるって感じ』

｢最近は女の子の家にいることが多いけどね〜｣なんて気にも止めてないような声で言う

『なのに、昨日たまたま家にいて、喧嘩しちゃった。謝んなきゃ』

なんて話しているうちに駅に着いた

『海人も電車乗って学校行く？』

「うん。まつくはどこまで送ってけばいい？」

『昨日のところでいいよ。海人は学校あるだろ？』

「ほんとに？」

『うん。俺、そこまでガキじゃないよ』

俺よりも10センチくらい低い背

なのに俺以上に存在感があってすぐに遠くに行きそうな感じがして

『海人って手繋ぐの好きなの？』

いつのまにかまつくの手を繋いでいた

「ホームに落ちられたら困るから」

『だから、俺ガキじゃないって』

少しムッとした表情で俺を見てくるまつく

その間もずっと繋がれている手

この半日のことはきっと偶然なんかじゃなくて運命的な何かだったのだろう

きっと駅に着けばもう会えなくなるかもしれない

そう思うと一分一秒でも長くまつくを感じておきたくて

離れないように固く手を繋いでいた