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中村side
高校2年の冬
俺は駅前にあるカラオケ屋でバイトをしていた
受付のところにある椅子に座り外をボーと眺めていると
宮「海人。もうそろ上がり?」
と宮近さんが声をかけてきた
「そうっすね」
宮「まじか〜。じゃぁあとはあのハゲ店長と2人かよ」
「ははっ。頑張ってくださいね」
先輩の宮近さんが絶望したような顔をしながらその場にしゃがみ込む
宮「この前、彼女に振られるし。今日はハゲ店長とだし、、、」
人生最大の不運だなんて叫びながら頭を抱えていた
現在の時刻は22時前
22時を過ぎるとお客さんも少なくなるからという理由で2人体制で働くのがここのルール
まぁ高校生の俺には関係ないけど
「じゃぁ俺、そろそろ上がりますね」
宮「海人、置いていかないでくれ〜」
「失礼しまーっす」
宮近さんの最後の叫びを無視してバックヤードに入る
着替えを済ませ、荷物を持ち宮近さんにハゲ店長だと呼ばれていた店長に挨拶をして店を出る
「寒っ」
手をコートのポケットに突っ込みながら早々と歩く
今年は例年よりも気温が下がるとニュースで言っているのを聞いた気がする
今年のクリスマスはホワイトクリスマスだーってこの前まで叫んでいた宮近さんだけど、彼女さんが浮気をしていたらしく先日破局
恋ってのもめんどくさいんだなと宮近さんの話を聞いながら思っていた
〜♪
どこからか、歌声が聞こえてくる
その声に導かれるように俺は歩き始めた
『君を離さな〜い』
男の人がギターを弾きながら歌を歌っていた
少し高めの声。
透き通るような、しかししっかりとしたその声に聞き惚れていた
曲が終わりその人が顔をあげる
寒さのせいからかその人の目は少し潤んでいた
『あのっ』
「えっ、、あっ。僕?」
『はい。どうでしたか?』
「なんか不思議でした。」
『気に入って下さりましたか?』
「はいっ。」
『なら、良かったです』
そう言ってニコニコ笑いながらギターを片付けていく
『また、聞きに来てくれますか?』
「あっ、、、はい!」
『では』
そう言ってスタスタと歩きさって行った彼。
しばらくの間ぼう然と立ち尽くしていた俺は、彼の後ろ姿が忘れられないでいた
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作者名:妃愛 | 作成日時:2021年7月23日 16時