捌拾参 ページ43
遠征任務が続いて、やっと里へ帰ってきた俺は風柱不足と疲れた体を癒したくて足は不死川邸を目指していた。
｢たでーまっす、実弥。｣
玄関で声をかけても、任務でいない以外大抵いつもはどこからか現れるがそんな気配がしない。
出迎えてほしかったのもあり、なんだよ、と年相応に俺はムッとした。
言動が大人だ、と言われるが、俺だって竈門たちと同い年だ。
一応、子供っぽいところもあったりする。
｢実弥ー？どーこっすかー？｣
風柱の自室を覗いたり、縁側を覗いてもおらず、自室に向かいながら部屋という部屋を覗いて回る。
いない。
自室に荷物と羽織を置いて、日輪刀を持って風呂場へと向かう。
｢実弥ー？湯浴みしてんすかー？｣
そう問えば、中で息を飲んだような気配を感じた。
開けるっすよ、と念の為声をかけてから、俺は禁断とも言える引き戸を開けた。
｢実弥、見つ…け、た…｣
｢……勝手に開けんじゃねェよォ。｣
湯浴みをしているのだから、目の前に一糸まとわぬ姿があっても不思議では無い。
傷だらけで粗暴で皆から怖い、と称されるが、本当は色男だ。
そんな愛しの風柱が、一人で欲を発散させている場面に遭遇したらどう思うだろうか。
俺の中の何かが音を立てて切れたのは、至って普通な反応だと思う。
｢さーせん。いいっすよ、続けてくれて。｣
｢で、できるかわけねェだろォがっ！｣
｢実弥なら出来るっすよ…俺に見せてくだせー。｣
隊服を脱ぎながら、俺は風柱のその姿を焼き付けるように見つめたまま言う。
出来る出来ないじゃなく、やらせるんだけどな。
チラッと見てきた風柱と、褌姿になった俺の目が合う。
｢実弥、自分でしてるとこ見せてくだせーよ。じゃねーと、触ってやらねーっすよ？｣
年下のくせに、の意味の籠った睨みに俺は笑む。
愛が歪んでるのは、自覚済みだ。
観念したのか、触ってほしいからなのか、風柱は再び一人でし始めた。
それを眺めていたら、当然褌の中で反応するのが生理現象。
窮屈になった褌を取り払い、湯場に入る。
扇情的な光景に、俺も無意識に欲へ手を伸ばしてた。
｢翔閃…翔閃…っ。｣
｢見てるっすよ…ちゃんと…実弥っ。｣
見られてる状況が良かったのか、風柱は欲を吐き出し肩で息をしている。
｢実弥…俺のも頼むっすよ……｣
従順な風柱を見られるのは、俺の特権。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年5月4日 21時
