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「まだ見つからないのか、役立たず共め!こんなザコの見張りなど、私1人でいいからもう一度イレブンを探してこい!」


そういうなりホメロスは、ステージ上で見張りをしていた兵達さえもイレブン捜索へと向かわせた。
好機、とばかりに一行は身を潜めていた死角から飛び出しホメロスの背後を突いた。


「貴様ら、いつの間にこんな所まで!」

「返してもらうぜ、ホメロス!」

「させると思うか、ゼク?チョロチョロと目障りなネズミ共め!悪魔の子もろとも、私ひとりでカタをつけてくれるわ!」

「それはこっちのセリフだ、バカヤロー!」


カミュの次に素早いゼクが、先制しホメロスのボディーに一撃を入れた。
怯んだ隙にセーニャがマホトーン、ベロニカがマジックバリアをそれぞれ発動させる。


「シルビア、僕とゼクにバイシオンかけて!」

「了解よ〜!」

「思い通りに行くと思うな!」


シルビアによってゼク、イレブンの攻撃力が上がるも、ホメロスはそれを上回る防御を剣でしてみせる。


「ちっ、イレブン!片手剣貸せ!」


例の如く、ゼクはイレブンの横を駆け抜けながら使われていない片手剣を拝借する。


「心眼……一閃っ!」

「させんっ!」


キィンッ、とゼクの剣がホメロスに弾かれ飛ばされた。
カランッ、と剣が落ちたのは、囚われの身であるカミュの前だった。


「もらった……っ!」

「ゼクっ!」


尻もちを付いていたゼクに、ホメロスが斬りかかろうと剣を振り上げた。
目の前で繰り広げられている攻防に、カミュが眉をひそめて声を上げた。
その声でゼクは横へ転がるようにして、ホメロスの攻撃を避けた。
そのまま立ち上がりゼクは、飛ばされた剣を拾いに走る。


「ゼク、オレ……」

「すぐ解放してやるから、待ってろ。」


無意識なのかゼクは、眉を下げ不安そうに見てくるカミュに笑いかけた。
戦闘に戻ったゼクには、カミュが顔を赤くした事なんて知る由もなかった。


───

双子の呪文を封じられ、道具での回復を強いられながらもシルビアの火吹き芸に援護してもらい一行はなんとかホメロスに片膝を付かせる事が出来た。


「カミュ!待たせたな。」


ゼクは囚われたままのカミュに近づき、ロープを剣で切り落とした。


「肩、痛ぇ……」

「時間出来たらマッサージしてやろーか?」

「別にいい。」

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年4月1日 23時

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