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｢……それにしても、ワケわかんないわね。悪魔の子のイレブンちゃんが、邪悪の神ちゃんを倒すって、どういうこと？｣
シルビアは腑に落ちないとばかりに、引っかかったことを口にした。
｢……イレブンは、デルカダール王国から災いを呼ぶ悪魔の子の汚名を着せられて俺とカミュの3人で、追われながら旅してたんだ。話そうとは思ってたんだけどな、先延ばしにしてた。巻き込んで悪かったな。｣
｢や〜ねぇ、そんなこと気にしてないわ。初めっからイレブンちゃんは、悪い子じゃないってわかっていたもの。それに、アナタが側にいるって事もそういう事だからなんでしょ？｣
｢…まーな。｣
ゼクがシルビアの過去を知るように、シルビアもまたゼクの過去を知っている。
過去に騎士道を語った事を思い出し、騎士は恥ずかしそうに旅芸人の言葉を肯定した。
｢んなことより、次はこっちから仕掛けんぞ。｣
｢町の中は兵士ちゃんたちでいっぱいね。｣
｢この数の兵士の目を掻い潜って、カミュさまのところまで行くのは……｣
｢無謀、か？｣
ゼクが聞けば、セーニャとベロニカはこくりとうなづいた。
｢……建物の中を行く。｣
｢そうね、ムダな争いも避けられるはずよ。｣
｢とにかく、中央の橋まで出るぞ。そこからなら、カミュの様子も分かるはずだ。｣
｢さぁ、宿屋から屋根伝いに行くわよ！｣
落としていた視線を上げたゼクは、シルビア、イレブン、セーニャ、ベロニカの順で見た。
各々その視線に、力強く頷いた。
───
シルビアの先導で、町中央の橋の上まで一行はたどり着いた。
そこに立ちゼクは、カミュが捕まっている奥のステージへと視線を向ける。
イレブン達もそちらへ視線を向けていた。
｢姿を現したまえ、悪魔の子イレブンよ！町のどこかに潜んでいることなど、私には分かっている！早く出てこなければこの者の命、私が貰い受けるぞ！｣
｢あの軍人ちゃんってば、気が短いわね。｣
｢……武功を急いでやがるな。なぁ、シルビア。｣
｢なぁに、ゼクちゃん。｣
｢単騎で正面から突っ込むって俺が言ったら、どーする？｣
ステージを見たまま、ゼクは平然とシルビアに問いかけた。
だが、それに反対したのは予想外の人物だった。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年4月1日 23時
