仲間 ページ7
別れ際、王子は何かあったら頼れと力になる事を約束をゴリ押ししてきた。
虹色の枝を追うべく、一行は謁見の間を出たのであった。
｢思いっきりバレてんじゃねぇか、ゼク。｣
｢俺のせいじゃねーだろが。｣
｢にしても、王族前にしたゼクって人変わるよな。｣
｢他国の王族だからな。｣
自国の王族ならいいのか、と盗賊の中に疑問が生まれたが、時が来れば自ずと分かるだろうと無理矢理腑に落とした。
｢カミュ、ボーッとしてんなよ。｣
｢悪ぃ。｣
扉前で振り返って待ってくれている騎士に一言謝り、盗賊は騎士と共に王城を後にした。
───
先の王子の手伝いで減った分の道具を補充し、教会で旅の加護を祈った一行は城門へとやってきた。
｢待ってたわよ〜ん、イレブンちゃ〜ん！｣
どこからともなく聞こえてくる聞き覚えのありすぎる声に、一行は迷わず視線を上へと向ける。
そこには案の定、旅芸人が立っていた。
｢げっ！何しに来たんだ！？｣
｢んだよ、まだ俺達に用あんのかー？｣
そう声を掛ければシルビアは、シュタッ、と目の前に着地し一行の疑問に答えた。
｢も〜、決まってるじゃないの！アタシも、ついていくわ命の大樹を目指す旅に！そして邪神ちゃんを倒すのよ！｣
｢おいおい、冗談じゃねぇ！いきなり出てきて、何言ってんだ！？｣
｢シルビア、俺達の旅は遊びじゃねーんだぞ。｣
｢もちろん、遊びで着いていく気はなくてよ。｣
ふざけた雰囲気をしまい込み、シルビアは真剣に言い放った。
｢旅芸人として世界中を回って、たくさんの笑顔と出会ったわ……でもね、それと同じくらい魔物に苦しめられている人たちの悲しみにも出会ったの……｣
シルビアはどこか切なげに、そう言って自身の夢は世界中の人々を笑わせる事だと語った。
｢でもみんなから笑顔を奪おうとする邪神ちゃんがいたら、その夢も叶わなくなるじゃない？｣
｢確かに、そうかもしれないね。｣
｢……だ・か・ら、アナタたちの旅の目的はアタシの旅の目的でもあるってワケ！｣
旅芸人の言い分には、昔馴染みのゼクでも腑に落ちるものだった。
｢それじゃ、みんなこれからもよろしくねん！｣
｢やれやれ。相変わらず、強引なヤツだぜ。｣
｢…頼むから、あまり目立ってくれるなよ？ただでさえ、目立つんだから。｣
｢それは、あんたの髪色が赤だからでしょ！｣
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年4月1日 23時
