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｢おや、そちらのお兄さん達！御三方共、サラサラ、ツンツン、おしゃれな非対称と髪型が決まっていて男前ですねぇ〜！｣
その男は3人を見て、見物ではもったいないからコンテストに参加するよう言ってきた。
だが、そんな話はゼクの耳には届いておらず騎士の視線はステージ上の男に釘付けされていた。
｢おいおい、オッサン。オレたちはコンテストに付き合ってる場合じゃ……｣
断ろうとしたカミュだったが、ステージ上の男を視認したらしく怪しくないか、と勇者と騎士に問うた。
｢……フッ。逃亡者は人混みに紛れるもの。このコンテストを利用し、貴様をあぶりだそうと画策していたがその必要は無かったようだ。｣
それは長髪を後ろでひとつに束ね、大英雄と同じ鎧を身に着けた細目の男だった。
｢まさか、人目もはばからず堂々とコンテスト会場にやって来るとはな。｣
｢ヤツのあの鎧……まさか……｣
｢なんで、ここにいやがる…ホメロス！｣
｢ゼク、そんな事は愚問だとお前なら分かるだろう。｣
3人が焦る中、智将ホメロスは緩慢な動きで両腕を広げダーハルーネの民に語りかけ始めた。
｢私はデルカダール王の右腕、軍師ホメロス！そして……あの者こそ悪魔の子、イレブン！ユグノア王国を滅ぼした、災いを呼ぶ者だ！｣
｢｢ちっ……！逃げるぞ、イレブン！｣｣
｢さぁ、忌まわしき悪魔の子イレブンよ！おとなしく、我が手中に落ちるがいい！｣
カミュとゼクの声が重なりイレブンもホメロスに背を向け遠ざかろうとするが、ホメロスの策の方が上手だったらしくあっという間に囲まれ3人はステージ上で四面楚歌となった。
｢おいおい、マジか……？｣
｢やるしか、ない…感じだね。｣
｢捕まったらここで終了だぜ？……行くぞ、2人とも！｣
悪あがき、とはよく言ったものである。
3人は明らかに分が悪いと思っていても、なんとかして切り抜ける為に武器を手に取った。
向かってくるのは紛れもなくデルカダール兵だが、ゼクは容赦なく攻撃を叩き込んでいく。
何人か退けたものの、多勢に無勢な為兵の補給は滞りなく行われ3人の息が自ずとあがっていった。
｢ちっ、キリがねー！｣
｢ムダな足掻きはやめるんだな。さぁ、おとなしく……｣
｢待ちなさ〜いっ！！｣
捕まれ、と続くであろうホメロスの言葉を遮ったのは、子供特有の高い声だった。
声の先を見れば、そこにいたのは虎の威を借る狐もといシルビアの威を借るベロニカだった。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年4月1日 23時
