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そこを小芭内が蛇行するような太刀筋で、腕を斬った。
するとどうだ。
瞬間的に再生していた腕も触手も、それに遅れが生じた。
「遅い!!赫い刃で斬られると無惨でさえ、再生が遅くなる!」
実弥の言葉で俺は、小芭内の刀を見た。
見慣れた刀のはずなのに、色は赫かった。
理解する時間もないから、それは今捨て置くことにしよう。
小芭内が作ってくれた無惨の隙に、俺はまた額にあの紙を貼り付ける。
カナヲも伊之助も善逸も、同じようにまた姿をくらませた。
花の呼吸 肆ノ型、紅花衣
雷の呼吸 壱ノ型、霹靂一閃
カナヲと善逸の攻撃が入った。
「つまらぬ小細工ばかりするな!!蝿共が!!」
畳み掛けるように、小芭内が蛇ノ呼吸 参ノ型、塒締めで斬った。
その時、悲鳴嶼さんが自身の武器である鉄球と斧をぶつけて見慣れた色から赫へと変えた。
そのまま勢い良く、無惨へ鉄球を放ればそれは左肩を抉る。
「冨岡ァァァ!!受けろォォ!!」
実弥が義勇に向かって刀を振り下ろして、それを受け止めた。
すると、たちまち両者の刀は赫くなった。
「カアアア!!夜明ケマデ一時間三分!!」
「余裕余裕!糞味噌にしてやら゙ァァァ!!!」
───
「むらさき!!俺もアレやりてぇ!刃ァ赫くするやつ!!」
「言うと思ったよ…やってみる?」
「無理ですよ!腕力が同じくらいじゃなきゃ…」
「Um…」
カナヲのざっくりとした説明を受けて、俺は徐に自分の刀同士ぶつけた。
だが、そうは問屋が卸さないらしい。
ガチャガチャ、と鳴るだけで別段変化はなかった。
「ダメか…」
そう呟きながら攻撃する為に構えれば、その前に風の呼吸特有の鎌鼬が無惨に襲いかかっていた。
「伊黒ーーっ!!体を注視しろ!」
悲鳴嶼さんがそう叫んだ。
「見え方が変わらないか!?他の者でもいい!!体が透けて見えないか!?」
その言葉に俺も無惨へ視線を注ぐ。
だが、何も変わらない。
そこに無惨がいるだけだった。
ただ、音が何かおかしい。
睨むようにしながら、意識を聴覚へ回す。
目にも止まらぬ速さで、攻撃された。
義勇が飛ばされた。
小芭内も。
伊之助も。
鬼殺隊一、体躯が良い悲鳴嶼さんさえも飛ばされていた。
その体には、左足が。
ない。
「ゴフッ……」
そんな俺も飛ばされて、倒壊した家屋の壁に背中を打ち付けた。
一瞬、呼吸が出来なくなったのはそのせいだ。
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夜月銀桜(プロフ) - 一気読みしました…2人の関係大好きです! (3時間前) (レス) @page22 id: 4ba1a8817b (このIDを非表示/違反報告)
春月是駒(プロフ) - おいもさん» ありがとうございます! (10月28日 8時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
おいも - おもしろい!頑張ってください (10月27日 18時) (レス) @page10 id: a2ba9c7e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年10月19日 14時