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その時、俺の視界の端に誰かが映った。

フラ

フラ…

フラ…


「炭治郎……禰豆子ちゃん…」

「カナヲ…?」

「え……何、しようとしてるの?」


俺と善逸が凝視する最中、カナヲは突如駆け出した。
義勇と対峙する炭治郎の、左側から駆け寄っていく。
それに気付いた炭治郎が、左手をブンっ、と振るのと同じ軌道でカナヲは背後へと飛んだ。
けれど、カナヲの体は炭治郎の触手に貫かれる。


「そんなっ!!」

「カナヲっ!!」

「炭治郎、だめだよ……早く、戻ってきて。禰豆子ちゃん、泣かせたらだめだよ…」

「カナヲちゃんっ!」


地面に落ちるカナヲ。
炭治郎の動きが、止まった。


───

仰向けで寝かされている炭治郎。
それを善逸や伊之助。
その場で動ける人間が、周りを囲んでいた。


「ねぇ、さっきのあれ。何かしたの?」

「姉さんが、作って預けてくれてた人間に戻す薬…打った。」

「しのぶの?」


炭治郎の方へ向けていた視線を、カナヲへと向ける。
未だ戻らない炭治郎を心配してか、眉間に皺が寄ってる。


「……なら、戻ってくるかもね。」


そう言い残して、隠に処置を任せて炭治郎を囲む輪へと歩み寄る。
禰豆子の隣で炭治郎の様子を伺う善逸の背後で、俺は膝をつく。
ゆっくり振り向いた善逸は、俺だと分かっていたようで。


「カナヲちゃん、なんだって?」

「ん…しのぶの作ってた薬打ち込んだって。禰豆子用の人間に戻す為の。」

「だからって……突っ込むなんて無茶…」

「確かにね。」


無策ではなかったにしろ、見てるこっちは肝が冷えたのは確かだ。


「お兄ちゃん!」

「………ごめん怪我、大丈夫…か…?」


禰豆子の声に、善逸のつむじを見つめていた視線を横たわる炭治郎へ向ける。
すると、意識が戻ってすぐに炭治郎は禰豆子を傷つけたことを謝った。
これが何を意味するのか。
無惨に取り込まれ、鬼に堕ちていた炭治郎だったけれど炭治郎自身の意識はどこかしこにあったということだろう。
炭治郎の声を聞いて、周りに集まっていたみんなからドッと歓喜の声が上がった。


「お前にやられた傷なんか…たいしたこと…ねぇぜ………」


伊之助は肩で息をしながら強がって。


「俺は…一生かけて…償ってもらうから…禰豆子ちゃんの分も……」

「守りきれなくて、ごめんね(ソーリー)。」


善逸はめそめそ泣いて。
俺はそれを抱き締める。
名前を出された禰豆子は、傍らで困り顔。

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春月是駒(プロフ) - おいもさん» ありがとうございます! (10月28日 8時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
おいも - おもしろい!頑張ってください (10月27日 18時) (レス) @page10 id: a2ba9c7e56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年10月19日 14時

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