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大好きな人や大切な人は漠然と
明日も明後日も生きてる気がする
それはただの願望でしかなくて
絶対だよと約束されたものではないのに
人はどうしてか
そう
思い込んでしまうんだ
「いるんだろ、出て来い。」
歪な日本家屋を進んできて、俺は何枚目か分からない障子を開けて足を止めた。
それは隣を走っていた紫音も同じで。
「そこにいるのは分かってる。」
音がする方を睨んで、そう声を掛ければ口の利き方がなってない、とダメだしをしながらソイツは襖を開けた。
どの口が言う。
恩を仇で返す様なこと、しやがって。
「兄弟子に向かって。少しはマシになったようだが…」
色は黒く変色し、鋭利に尖った爪を持った指先が襖を掴んで開けた。
見知った姿。
けれど、その瞳には"上弦"と"陸"の文字。
「相変わらず貧相な風体してやがる、久しぶりだなァ善逸。それに…まだソイツといるのか鏡月。お前もこっちへ来たらどうだ?」
「獪岳。鬼になったお前を、俺はもう兄弟子と思わない。」
コイツ、紫音を鬼に勧誘してやがる。
ふざけるな…っ!
俺から爺ちゃん奪っただけじゃなくて、紫音まで奪おうとしてるなんて。
「
紫音がそう言って切り捨てれば、アイツの表情が一瞬。
ほんの一瞬、歪んだ気がした。
「誰が期待するかよ…ってか、変わってねぇなぁ。チビで、みすぼらしい。軟弱なまんまでよ。柱にはなれたのかよ?なぁ、おい善逸。壱ノ型以外、使えるようになったか?」
アイツは俺を煽ってるようだけど、それに反応したのはいつも俺を守ってくれてる紫音だった。
俺の前に出ようと動いた紫音を、俺は大丈夫、の意味を込めて片手で制した。
「適当な穴埋めで、上弦の下っ端に入れたのが随分嬉しいようだな。」
「へぇ……ハハッ!!言うようになったじゃねぇか、お前…」
「なんで、鬼になんかなってんだ?」
ずっと疑問だった。
なんで、コイツが…
「ははっ、お前には…」
「雷の呼吸の
我慢の限界は、ゆうに超えてた。
「アンタが鬼になったせいでっ!爺ちゃんは腹切って死んだ!!!」
チュン太郎が持ってきた手紙を読んで、おかしくなりそうだった。
紫音がいなかったら、ホントどうなってたことか。
それでも、涙はまだ枯れてないらしい。
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夜月銀桜(プロフ) - 一気読みしました…2人の関係大好きです! (1時間前) (レス) @page22 id: 4ba1a8817b (このIDを非表示/違反報告)
春月是駒(プロフ) - おいもさん» ありがとうございます! (10月28日 8時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
おいも - おもしろい!頑張ってください (10月27日 18時) (レス) @page10 id: a2ba9c7e56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年10月19日 14時