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違和感。
今まで師範が請け負ってくれていた、機能回復訓練。
その話で、何故師範の名前がしのぶから出なかったのか、だった。
善逸から、師範の容態については聞いていた。
というより、聞かされたが正解ではあるけれど。
「あの人おかしいよ!人間じゃないと思う!左目潰されて、左手失くしてんのにさ!嫁三人衆に支えられながら歩いてたんだって!!」
「それ、どこからの情報?」
「え?隠、だけど?」
左目と左手を失くした師範。
あれから俺の下に、見舞いに来てもいないから直接話を聞けていない。
……実弥なら、何かしら知ってるかもしれないから聞いてみよう。
同じ柱だし、師範の弟分的な位置にいる人だから。
───
「ア゙?んなもん、身体的理由しかねぇだろうがよォ。」
「ブッ……それは、まぁそうだろうとは思ったけど。」
反射を養う為の薬湯掛け。
実弥に話を聞いてみたら、薬湯と共に言葉が返ってきた。
あぁ、臭い。
「それ以外で、何か聞いてるかもしれないから聞いたんだけど。」
「知るかよォ、嫁でもねェんだしィ。それこそ、宇髄の嫁共に聞けばいいだろうがァ。お前、継子なんだからよォ。」
「いや…近いからこそ、聞きにくいことってあるでしょ。」
「ま、それはあるかも知れねェけどな…っ!はっ、
二度目の薬湯を実弥はあろうことか、俺の頭頂部からゆっくりと掛けてくれる。
屈辱の何物でもない。
悪いけど、俺は掛けられるより掛けたい派だよ。
「でェ?お前、柱に昇級とかあるのかァ?」
「ん?…ないよ、あってもならないから。」
「はァ?なんでェ。」
「
「異国語、分かんねェよっ!」
本日三度目の薬湯が、俺の顔面へ飛んできた。
ナイス、顔面キャッチ。
「……鏡月。」
「ん?」
コトリ、と湯呑みを卓へ戻しながら実弥が俺を呼ぶ。
コポコポ、と薬湯が注がれるのを聴きながら、俺は視線を前へと向けた。
「……上弦は、そんなに強ェのか?」
「ん…強い。陸で師範があんな状態になった。杏寿郎が対峙した上弦は、それ以上……だよ。」
見てはいない。
けれど、今回の任務で分かった気がする。
如何に、杏寿郎を
「そうかァ…」
静かな訓練場に、やたらとそれが響いた。
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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時