音の継子は我妻善逸に過保護3 (ページ6)

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｢無事か！良かった…｣

｢無事じゃねぇよぉぉっ！俺たちも可哀想だけどっ、伊之助がヤバいよぉっ！｣

それを聞いて炭治郎は、はっ、と息を飲んだ。

｢心臓の音が…どんどん、弱くなってる…｣

｢伊之助っ、どこに…！？｣

｢あそこにいるよぉぉっ！｣

体を動かせる善逸が、炭治郎に伊之助の居場所を指し示した。

｢ぐすんっ…伊之助、大丈夫…だよな？｣

｢I don't know...(分かんない…)｣

俺も善逸も耳が良いから。
良すぎるから、伊之助が助かる見込みがないって思い始めてた。
伊之助の下へ行った炭治郎から、驚嘆の音が聞こえた。

｢何…禰豆子ちゃん、何…やってるの？｣

｢善逸…？｣

｢禰豆子ちゃん…伊之助を、燃やしてる…｣

｢What?…つっ！！｣

驚いて起き上がろうとしてしまった俺を、また激痛が襲う。

｢あっ！駄目だって…折れてるんだよ？｣

｢ごめん(ソーリー)…つい…｣

痛みで眉間に皺を寄せながら、俺は苦笑う。
善逸は、しょうがないな、と若干の呆れ顔。

｢腹減った…！なんか食わせろっ…！｣

｢伊之助ぇぇっ！良かった…っ！｣

そんな会話が聞こえてきて、弱りきっていた伊之助の心音も消えることなく続いていた。
泣き縋る炭治郎に、やめろ気持ち悪い、と邪険に扱う伊之助に俺も善逸も間違いなく安堵していた。

｢伊之助、助かった…みたいだね。｣

｢ん…伊之助は、ね。｣

｢え…？｣

安堵する傍らで俺は、少し離れた場所にいるであろう師範の音を聞いていた。
師範の音、と言うよりも、その近くにいるであろう須磨の泣き声、というのが正しいけれど。
死なないで、と悲鳴に近い泣き声。
同じように、まきを、雛鶴、二人の音も悲しみ、切なさ、悔しさ、色んな音が混じりあっていた。

｢…Maybe the antidote they have doesn't work?(持っている解毒薬が効かないのかな?)｣

｢え？何？どういうこと？？｣

｢ん…師範も、毒喰らってたよねって。雛鶴さんたちが持ってた解毒薬じゃ、鬼の毒には効かないらしくて…｣

｢そういうことね…たぶん、大丈夫だと思うよ。｣

怪訝な表情の俺を、善逸はふわっと笑って見ていた。
炭治郎と禰豆子の音が伊之助から離れて行った。
その先には、師範たちがいる。
善逸が言おうとしていることが、俺にも分かった。

｢I see...(なるほど…)そういう事か。｣

｢うん…そういうことだよ。｣

本当に安堵したからか、俺に意識はそこで途切れた。