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悲鳴嶼さんの所での修業を切り上げ、俺と善逸は鬼へと堕ちた獪岳を探すべく宛もなく歩いていた。
その時、急に地面が失くなったかと思えば俺も善逸も落下して。
俺たち二人は、一閃の六連撃のようにあちこちの壁に着地して勢いを殺しつつ一番下へと下りた。
「何、ここ?」
「…
そう言ってるそばから、周りは下弦の鬼くらいの強さの鬼で溢れかえりそうになってた。
「鬼ぃぃぃい!!!」
「…善逸、俺から離れないで。」
二対の刀を手にして、俺は善逸へそう言った。
俺へと寄った善逸を感じ、俺は呼吸を変えた。
「参ノ型、失意への
俺を中心に、二対の刀で三百六十度の不規則な軌道で円を描く。
するとそれは、俺と善逸を包むよう球体の軌道を描きその場の鬼を殲滅した。
「Too weak.舐められたもんだね。」
姿勢を戻しながら、刀を背中へ背負い直す。
振り返って善逸を見れば、あっけに取られてる様子だった。
「善逸、怪我…ない?」
「うん、ないよ。全然、かすり傷さえもないよ。」
「良かった…こんな所で、足止めされてる訳にはいかないからね。」
奥の方から、いつぞや聞いた刺々しい音と共に鬼特有の音が聞こえてきている。
善逸を見る限り、同じ方向に視線を向けているから既にその音に気付いているようだった。
それと同時に、誰の音かも。
「善逸、行こうか。」
「……紫音、約束してほしい。アイツの…獪岳の頸を斬るのは俺がやらなきゃだから。その時は、手を出さないでほしいんだ。俺に何があっても。」
黄金の瞳が、俺を映す。
その目は真剣で。
言葉の鎖で、俺を縛ろうとしていた。
「……OK、分かったよ。」
「ごめんよ、こんな時に変なワガママ言って。」
「ワガママじゃないよ。」
困ったように笑う善逸に、微笑を返す。
手を差し出せば、少しだけ小さな手が重なって指が絡まった。
「行こう、紫音。」
「ん、どこへでもお供するよ。」
そう言って俺たちは走り出した。
───
鬼を滅殺しながら、奥へ奥へ音の鳴るほうへと進む俺たち。
「音が聞こえた…」
「刺々しい音、だね。」
「昔っからだよ…
善逸は無意識なのか、俺の手をギュッと強く握ってきた。
それに応えるように、俺も握り返す。
"大丈夫"って、言うように
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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時