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岩柱である悲鳴嶼行冥の屋敷の敷地内へ入ってまず目にしたのは、滝行をする伊之助たちと火あぶり修業をしている悲鳴嶼さんだった。
その光景を見れば、善逸じゃなくとも引くよね。
「
さすがの音柱の継子である俺でさえも、引いた。
忍時代の師範がやってた修行も、相当引く内容だったけどね。
「最も重要なのは体の中心…足腰である。強靭な足腰で体を安定させることは、正確な攻撃と崩れぬ防御へと繋がる。まず、滝に打たれる修業をしてもらい……丸太三本を担ぐ修業…最後にこの岩を一町先まで押して運ぶ修業…」
そう説明する悲鳴嶼さん。
だが、これでもどうやら簡単らしい。
聞くところによると、火あぶりの修業は危険だと判断して止めることにしたとか。
だとしても、これは……
「は……」
「善逸!?」
隣で倒れる気配を感じて慌てて体を支えれば、善逸は気絶していた。
「すみません、善逸が気絶しました。」
「川につけなさい。」
無情な起こし方を言う悲鳴嶼さんを、俺は睨んだ。
言われた炭治郎も、俺の腕から善逸を奪い去ろうとしていた。
「
「え!?」
咄嗟に炭治郎を異国語で、俺は拒絶した。
度肝を抜かれている炭治郎を前に、俺は気絶したままの善逸の頬を軽くペチペチ叩きながら声をかけていた。
「善逸、起きて?善逸?」
「あ…あの…鏡月さん…?」
「鏡月、過保護にするのもいい加減にしなさい。大事だと思うなら、時には心を鬼にして突き放すのも必要…そうではないか?」
ド正論を言われ、俺は苦虫を潰したように顔を歪めた。
そんなこと、初めから分かってる。
「鏡月さん…善逸を俺に「触らないで、…俺がやるから。」
炭治郎の言葉を遮って、俺はそう言うとゆっくり立ち上がり川へと近づく。
川べりに片膝をついて、その上に善逸を座らせる要領で乗せる。
膝裏に入れていた手を離し、目の前の川へそっと差しこんだ。
肌に突き刺さるような冷たさに、俺は眉間に皺を寄せる。
こんな冷たい水のなかに、善逸をつけろって指示したのかと思うと黒く刺々しい感情が生まれた。
そのまま川の水で冷えた手を、善逸の頬へ当てる。
「ひっ…」
「善逸?起きた?」
一瞬、善逸の体が硬直したから顔を覗き込んだ。
すると、ゆっくり開いた黄金の瞳に紫紺色が混ざり込む。
「うん…ごめんよ。」
「
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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時