127 ページ42
そんなことをしていると、障子と一緒に炭治郎がモヒカンの男を押す形で外へ飛び出てきた。
「戻ってきた戻ってきた!血も涙もない男が!伏せろっ、失神したふりだ!」
善逸は周囲の隊員たちに伏せるように促し、自身も膝枕をそっと取ってから俺の隣で地に伏せた。
「あれ?炭治郎?」
「え???」
俺の声に反応した善逸も、同じ方向を向いていた。
「えええーー!!殺されるぞ、炭治郎!何してんだ、建物ぶっ壊して…」
「実弥、そんなことしないと思うけど…」
「やめてください!」
善逸が炭治郎の心配をする最中、それを追うように出てきたのは、目を血走らせた実弥だった。
それも、捻じ曲がった禍々しい音をさせながら。
「どういうつもりですか!!玄弥を殺す気か!」
「殺さないでしょ、隊律違反だし。」
体を起こしながらそう言えば、縁側からトッ、と降りながらそれを肯定した。
「再起不能にすんだよォ。ただしなァ…今すぐ鬼殺隊を辞めるなら許してやる。」
「ふざけんな!!あなたにそこまでする権利ないだろ!!辞めるのを強要するな!」
ボコボコに腫れた顔の炭治郎は、眉を釣りあげて実弥に吠える。
「さっき弟なんていないって言っただろうが!!玄弥が何を選択したって口出しするな!才が有ろう無かろうが、命を懸けて鬼と戦うと決めてんだ!兄貴じゃないって言うんなら、絶対に俺は玄弥の邪魔をさせない!玄弥がいなきゃ上弦に勝てなかった!再起不能になんかさせるもんか!」
刀鍛冶の里での戦いのことを言っているのだろうことは、俺にも分かった。
ただ、一つ下である俺の面倒を見てくれる実弥からは想像がつかなかった。
あの"玄弥"という男は、実弥にとってどういう存在なのか俺は知らない。
炭治郎の言うことから、恐らく兄弟なんだとは思うけど。
「そうかよォ…じゃあ、まずテメェから再起不能だ!」
実弥が動き出したかと思えば、一気に炭治郎との距離を詰めて右のボディーブローを腹へと叩き込んだ。
「うっわ…炭治郎…!!」
「いや…止めてる。」
入ったと思われた実弥の右手は、炭治郎が両手で止めていた。
それを軸にして炭治郎は、右足で実弥の頭へ一発蹴りを見舞った。
「へぇ……」
バランスを崩した炭治郎は、背中から地面へと落下するも実弥も蹴られた箇所を抑えて膝をついていた。
「鏡月さんっ!!善逸ーーーーっ!!!玄弥を逃がしてくれっ、頼む!!」
「ちょっ…バッバカお前…バカ!!」
「Oh shit!」
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時