音の継子は我妻善逸に過保護3 (ページ41)

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｢オイ、お前ら！目ェ覚めたんなら、稽古加われェ！｣

不意に視界に入ったらしく、実弥は炭治郎を蹴り飛ばしながら俺も善逸にそう声をかけてきた。
隣で回れ右をする善逸のお腹へ腕を回して、俺は抱き込んで耳元へ口を寄せた。

｢勝手に行かないで…一緒に、だよ？｣

｢うっ…その声でそんなこと言われると、別な意味に聞こえるんだけど…っ？｣

カァァッ、と耳が赤くなった善逸。
そういう風に取れるような言い方を、俺は故意的にしたんだ。

｢About what?(なんのこと?)｣

｢っ…分かんないって、バカァ。｣

ビクッ、と揺れた善逸の肩に、俺は満足して離れる。

｢善逸、行くよ。｣

｢もうっ！分かったよ！行くよっ、行きますぅっ！！｣

解放して先に歩き出した俺は、振り向いて手を差し伸べた。
けれど、真っ赤な顔した善逸はその手を躱して雑な足運びで稽古の輪へと飛び込んで行った。

｢ちょっ、善逸！｣

俺もその背中を追いかけて、輪の中へと溶け込んだ。

───

｢立てよ、鏡月。｣

自分への攻撃をいなして躱して、隙を見て攻撃に出るがそれを受け流されて躱された。
その合間も、俺は善逸への攻撃でさえも受け止めてはいなしていた。
それが仇となり、俺は今片膝を地面に付けて実弥の竹刀の切先で顔を少し上向きにされていた。

｢……鬼殺隊の隊員は、鬼を滅殺してなんぼだろォ。それをお前は、守るだァ？ふざけんのも大概にしろやァ。｣

｢くっ…ふざけてなんかないよっ。善逸は、俺が守るっ。｣

｢紫音っ！｣

｢……っ！そういう奴はなんて言うか知ってるかィ？｣

顎から竹刀が外された。
離れたそれは、実弥によって俺の延髄を狙う。

｢死に急ぎ野郎って言うんだぜェ！！｣

バシンッ、とこ気味いい音と共に、俺は意識を手放さざるを得なかった。

───

｢ん……｣

｢紫音？気が付いた？｣

最初に見えたのは、空を背景にした黄色い髪だった。
それから黄金の瞳に、俺が映った。
頭の下にあるのは、感触的に善逸の膝。
心配で揺れる黄金を見つめたまま、その頬に手を添えて大丈夫、と伝えれば眉尻を下げてホッ、としていた。

｢稽古、は？｣

｢皆失神したから、今は休憩。｣

なるほど、それで実弥の音が屋敷の中からするのか。
そう、と返しながら、体を起こす。
すると、無意識なんだろうね。
善逸の口から、あ……、って名残惜しそうな音が漏れ出た。
可愛いと思うけど、今は我慢我慢。