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向こうで爆音が聞こえた。
それと同時に、聞き慣れた耳触りの良い音がした。
師範だ。


「あんたがあたしの頸を斬るより速く、あたしがあんたを細切れにするわよっ!」


帯が迫る。
瓦礫から出る為に音速を使い、堕姫への攻撃に音速と神速を。
今の俺では、次が出せる状態ではなかった。
堕姫の頸を斬れずにいた俺の下へ、伊之助が現れた。
血の鎌で心臓を貫かれたはずなのに。


「俺の体の柔らかさを、見縊んじゃねぇっ!」


血を吐き散らしながらも、刀を振りかぶる。


「内蔵の位置をずらすなんて、お茶の子さいさいだぜぇっ!険しい山で育って俺にはっ、毒も効かねぇっ!」


真反対の方から伊之助は、帯化している堕姫の頸へ刀を振り下ろした。
俺の刀でくの字に曲がっているところに、更にくの字へ曲がる帯。
ノコギリ状の刃で、帯が引きちぎられていく。


「お兄ちゃんっ!なんとかしてっ、お兄ちゃんっ!!」


ここまできたら強い、弱いは関係なかった。
ただ、頸を斬る。
それだけの執念で、俺は前へ前へと押し進む。


二つの頸が、宙へ放り出された。
刀を繋ぐ鎖が、ジャラッ、と俺の右側で鳴った。


「斬った…っ。」


久々にド派手に本気を出した俺の体は、疲弊しているらしく屋根に着地すると肩で荒く呼吸をしていた。


「終わった…のか…?」


血を吐きながら、俺の目の前に着地した伊之助がボソリ、と呟く。


「竈門っ、まだだっ!走れっ!!まだ終わってないっ!!!」


逃げろぉぉぉぉっ!!!!


師範の切羽詰まった声に、はっ、とするが、飛び退こうにも体は休息を欲していて動かなかった。
視界にあの血の鎌が入ってきてからは、俺も伊之助も乗っていた屋根から吹き飛ばされてしまった。
一瞬、見えた血濡れた黄色い頭。


「善逸……っ。」


手を伸ばしても


届かなかった…


───

「………〜っ!起きてよ〜っ、紫音〜っ!」

「んっ……」


涙声の善逸に呼ばれて、俺の意識は浮上した。
目を開ければ、ボロボロ涙を零して鼻水垂らすたんぽぽ頭がいた。


「紫音!?死んでない!?」

「生き、てるよ…っ。」


起き上がろうと体に力を入れると、両足に激痛が走った。


「紫音っ!おっ、起き上がっちゃ駄目だよ!足っ、折れてるよ!?」

「善逸は…っ、大丈夫っ…?」

「うっ…、起きたら全身痛いんだよぉぉぉぉぉっ!」


聞いたら思い出したのか、善逸はまた泣き出した。
その声を聞いて、禰豆子におぶわれた炭治郎が来た。

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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