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風屋敷に戻るなり、実弥は稽古を再開させた。
お前もこい、と呼ばれたが誰かのおかげで善逸が気絶してることを言えば、舌打ちを残して俺から離れていった。


「ん……」

「善逸?気づいた?」

「紫音…?」

「ん、そうだよ。」


安堵したからか、顔が緩んで気付けば俺は微笑を浮かべてた。


「なぁ…っ、炭治郎……は?」

「ん?あっち。」


少し痛むのか顔を顰めて起き上がった善逸は、そう聞いてきた。
答えながら俺は、炭治郎の方へ視線を向けた。
善逸もそっちへ顔を向け、炭治郎を視認するとおい炭治郎、と呼びかけた。
名前を呼ばれた炭治郎は、振り向いてこちらに寄ってくる。


「善逸!気付いたのか!」

「気付いたのか!じゃねぇよ!!なんで俺を逃がしてくれなかったんだよ!バカヤロォォォォン!!」


掴みかかったかと思えば、善逸はポカポカ、と炭治郎を殴り始めた。
殴るというよりは、叩くに近い。


「イデデデッ、ごめん善逸。」

「ふんっ!やっぱりお前とは今日限りだな!」


プリプリ怒って炭治郎に背を向けた善逸は、次は俺を見てきた。
善逸越しの炭治郎も、困ったように俺を見てくるから早く稽古に加われ、とばかりにシッシッ、と手を払った。
それを受けて炭治郎は、すみません、というように頭を下げてから稽古へ加わっていった。


「紫音。」

「ん?何、善逸。」

「……あのまま誰もいないとこまで、逃げてくれれば良かったのに。」

ごめん(ソーリー)、思い浮かばなかったよ。」


まさかの逃避行への切符(チケット)を見せられて、軽く目を見開かざるを得なかった。
本当に俺の頭には、その案は浮かばなかったから。


「不死川さん、ホント容赦ないよね。辛かったとはいえ、伊黒さんのほうがまだ休憩くれたよ?なのに、なんなの?無限打ち込みって。」

「確かにそうだね…けど、考えがあるんじゃないかな。柱が直々に稽古つけてくれるなんて、継子じゃない限り難しかったからね。」

「なんで。」

「報告書書いたり、見回りしたり……柱って結構忙しいんだよ。」


そう言いながら、俺は師範を思い出していた。
忙しくしていながらも、しっかり俺に稽古を付けてくれていた。
まぁ、無理な時は嫁三人衆と手合いをしたりしてたけど。


「へぇ…知らなかった。だからあんなに偉ぶるんだ。」

「それは、師範だけかもしれない。」


Haha、と笑うしか無かった。

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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