125 ページ40
風屋敷に戻るなり、実弥は稽古を再開させた。
お前もこい、と呼ばれたが誰かのおかげで善逸が気絶してることを言えば、舌打ちを残して俺から離れていった。
「ん……」
「善逸?気づいた?」
「紫音…?」
「ん、そうだよ。」
安堵したからか、顔が緩んで気付けば俺は微笑を浮かべてた。
「なぁ…っ、炭治郎……は?」
「ん?あっち。」
少し痛むのか顔を顰めて起き上がった善逸は、そう聞いてきた。
答えながら俺は、炭治郎の方へ視線を向けた。
善逸もそっちへ顔を向け、炭治郎を視認するとおい炭治郎、と呼びかけた。
名前を呼ばれた炭治郎は、振り向いてこちらに寄ってくる。
「善逸!気付いたのか!」
「気付いたのか!じゃねぇよ!!なんで俺を逃がしてくれなかったんだよ!バカヤロォォォォン!!」
掴みかかったかと思えば、善逸はポカポカ、と炭治郎を殴り始めた。
殴るというよりは、叩くに近い。
「イデデデッ、ごめん善逸。」
「ふんっ!やっぱりお前とは今日限りだな!」
プリプリ怒って炭治郎に背を向けた善逸は、次は俺を見てきた。
善逸越しの炭治郎も、困ったように俺を見てくるから早く稽古に加われ、とばかりにシッシッ、と手を払った。
それを受けて炭治郎は、すみません、というように頭を下げてから稽古へ加わっていった。
「紫音。」
「ん?何、善逸。」
「……あのまま誰もいないとこまで、逃げてくれれば良かったのに。」
「
まさかの逃避行への
本当に俺の頭には、その案は浮かばなかったから。
「不死川さん、ホント容赦ないよね。辛かったとはいえ、伊黒さんのほうがまだ休憩くれたよ?なのに、なんなの?無限打ち込みって。」
「確かにそうだね…けど、考えがあるんじゃないかな。柱が直々に稽古つけてくれるなんて、継子じゃない限り難しかったからね。」
「なんで。」
「報告書書いたり、見回りしたり……柱って結構忙しいんだよ。」
そう言いながら、俺は師範を思い出していた。
忙しくしていながらも、しっかり俺に稽古を付けてくれていた。
まぁ、無理な時は嫁三人衆と手合いをしたりしてたけど。
「へぇ…知らなかった。だからあんなに偉ぶるんだ。」
「それは、師範だけかもしれない。」
Haha、と笑うしか無かった。
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時