検索窓
今日:47 hit、昨日:15 hit、合計:3,337 hit

124 ページ39

「うわあああああ!!」


黄色い頭の向こう側から、悲鳴が上がった。
声で炭治郎だということが分かる。
どうやら、風屋敷へ向かう炭治郎が逃げてきた善逸と遭遇したらしい。
善逸は善逸で、目の前に現れた炭治郎を救世主と言わんばかりに泣きついた。


「ににににに逃がしてくれェェェ炭治郎炭治郎何卒(なにとぞ)!!」

「逃げる?何から?」

「もう足が立たないんだ無理なんよ。ややややっとここまで逃げたんだ、塀を這ってきたんだ、気配を消してヤモリのように命に関わる殺されるっ!」

そう口早に言う善逸の頭を、実弥は無遠慮にガシリッ、と鷲掴んだ。
それを一部始終見ていた炭治郎が、あっ、と声をあげれば、それにつられるように後ろを見た善逸。


「実弥、手、離して。」


善逸の頭を掴む実弥の腕を、俺は掴んで目を見てそう促す。
もちろん、(プレッシャー)かけてるよ。
けれど、実弥は手を離すことなく俺を一瞥するだけ。


「選べェ、訓練に戻るか、俺に殺されるかァ。」

「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」


目の前にいたからだろう。
善逸は炭治郎にしがみついていた。


「勘弁してェェエェ!!ギャッ…ギャモッギャアアアンヌ!!」

「うるさい!」


喚く善逸に実弥が延髄切りをしようと手を動かした。
俺が割り込む間もなく、それは綺麗に決まって善逸は意識を手放した。


「ちょっ、実弥…!」

「運べ。」

「あ、はい。」


炭治郎が返事をしたが、気を失った善逸を俺は無言で取り返す。


「すみません、鏡月さん。」

「別に…君に悪いからって理由じゃないから安心して。」


嫉妬と独占欲で言った俺に、それでも同期のことだから、と言って炭治郎は追い抜き様にそう言ってきた。
軽々と善逸を横抱きして、俺は先に来た道を戻る実弥の背中を追う。
その斜め後ろを、炭治郎が歩いている。


「ご無沙汰しています。今日から訓練に参加させてもらいます。よろしくお願いします!」

「調子乗んなよォ、俺はテメェを認めてねぇからなァ。」


足を止めてそう吐き捨てる実弥。
おかげで、後ろを歩いてた俺は止まらざるを得なかった。


「大丈夫です!俺も貴方を認めてないので!禰豆子、刺したんで!」


炭治郎も炭治郎で、そう言うなり一人先に歩いて行ってしまった。


「いい度胸だ……」

「禰豆子刺した…って、何したの?」

「あァ?柱合裁判の時に、鬼の本性出させるのに少し(・・)刺しただけだ。」


…絶対少しじゃないよね。

125→←123



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.3/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。