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「うわあああああ!!」
黄色い頭の向こう側から、悲鳴が上がった。
声で炭治郎だということが分かる。
どうやら、風屋敷へ向かう炭治郎が逃げてきた善逸と遭遇したらしい。
善逸は善逸で、目の前に現れた炭治郎を救世主と言わんばかりに泣きついた。
「ににににに逃がしてくれェェェ炭治郎炭治郎
「逃げる?何から?」
「もう足が立たないんだ無理なんよ。ややややっとここまで逃げたんだ、塀を這ってきたんだ、気配を消してヤモリのように命に関わる殺されるっ!」
そう口早に言う善逸の頭を、実弥は無遠慮にガシリッ、と鷲掴んだ。
それを一部始終見ていた炭治郎が、あっ、と声をあげれば、それにつられるように後ろを見た善逸。
「実弥、手、離して。」
善逸の頭を掴む実弥の腕を、俺は掴んで目を見てそう促す。
もちろん、
けれど、実弥は手を離すことなく俺を一瞥するだけ。
「選べェ、訓練に戻るか、俺に殺されるかァ。」
「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
目の前にいたからだろう。
善逸は炭治郎にしがみついていた。
「勘弁してェェエェ!!ギャッ…ギャモッギャアアアンヌ!!」
「うるさい!」
喚く善逸に実弥が延髄切りをしようと手を動かした。
俺が割り込む間もなく、それは綺麗に決まって善逸は意識を手放した。
「ちょっ、実弥…!」
「運べ。」
「あ、はい。」
炭治郎が返事をしたが、気を失った善逸を俺は無言で取り返す。
「すみません、鏡月さん。」
「別に…君に悪いからって理由じゃないから安心して。」
嫉妬と独占欲で言った俺に、それでも同期のことだから、と言って炭治郎は追い抜き様にそう言ってきた。
軽々と善逸を横抱きして、俺は先に来た道を戻る実弥の背中を追う。
その斜め後ろを、炭治郎が歩いている。
「ご無沙汰しています。今日から訓練に参加させてもらいます。よろしくお願いします!」
「調子乗んなよォ、俺はテメェを認めてねぇからなァ。」
足を止めてそう吐き捨てる実弥。
おかげで、後ろを歩いてた俺は止まらざるを得なかった。
「大丈夫です!俺も貴方を認めてないので!禰豆子、刺したんで!」
炭治郎も炭治郎で、そう言うなり一人先に歩いて行ってしまった。
「いい度胸だ……」
「禰豆子刺した…って、何したの?」
「あァ?柱合裁判の時に、鬼の本性出させるのに
…絶対少しじゃないよね。
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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時