音の継子は我妻善逸に過保護3 (ページ38)

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音柱の稽古から始まり、霞柱、恋柱、蛇柱と俺たちは順に進んできた。
伊之助は俺たちより先へ行っている。
俺と善逸が今いるのは、風柱である不死川実弥の稽古場だ。
稽古を受けている隊員全員が、実弥によって強制的に地面と仲良くさせられている。
善逸は始めのうちに集中砲火を受けて失神させられて、それを見て感情に流された俺も今や地面に伏していた。

｢オイ、鏡月ゥ。あんの蒲公英頭どこ行きやがったァ？｣

影が差したかと思うと、降ってきたのは実弥の声。
声色からして、どことなく怒りを感じた。

｢善逸…？つっ……実弥があっちの方で、伸してたよね？｣

痛む体に鞭打って起き上がりつつ、俺の前でしゃがんでいる実弥を軽く睨む。

｢いねぇから聞いてんだろうがァ。｣

そんなはずはない、と内心否定しながら、善逸が地に伏した辺りへ目を向けるがそこには目立つ黄色い頭はどこにもなかった。

｢ったく、根性ねぇなァ。で、どこ行きやがったんだァ？｣

実弥に頭を鷲掴みにされ、否応なしにそっちを向かざるを得なかった。
居場所を俺に聞いてくる、ということは、善逸の音を探れってことらしい。
指図されるのは嫌だが、俺も善逸の事が気になるから聴覚へ意識を向けた。

｢……ん、ここから少し離れた場所にいるみたい。近くに、炭治郎もいるよ。｣

｢炭治郎？…あァ、あいつかィ？鬼を連れた隊士、だったかァ？｣

善逸のことを聞いてくる時より、怒りの音が大きくなった。
確か、那田蜘蛛山の任務の後に二人は顔を合わせてたはず。
そこで何があったかは知らないけれど。

｢ん、そう。｣

｢…立て、鏡月。そこまで案内しろォ。｣

俺の頭から乱雑に手を離した実弥は、立ち上がりながらそう言ってきた。

｢指図しないでくれない？｣

｢そういうことは柱になってから言えやァ。｣

一息吐いてから、立ち上がり善逸の音がする方へと足をむける。
後ろで他の隊士たちに、少しの休憩を言い与えて実弥は俺の後ろから着いてくる。

｢…鏡月、お前今階級はァ？｣

｢甲、になってたよ。｣

｢ヘェ…なら、サクッと十二鬼月滅殺してこいよォ。｣

簡単に実弥はそう言ってくる。
そうすると俺は、音柱を継ぐことになる。
なれたとしても、俺は柱にはならない。

｢前にも言ったけど、俺はならないよ柱に。｣

｢そうかよォ…｣

そんな話をしてたら、前に黄色い頭が見えた。