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「そ、その話はさ、ひとまず横においといて……」

「せ、折角だから、みんなで温泉に……」


俺と善逸がやんわり止めに入ろうとしたが、それよりも早く師範が伊之助に止めを刺した。


「温泉入って、強くなれるわけねぇだろ。脳味噌爆発してんのか?」

Oh my god…


俺は、小声でそう呟き。
善逸は頭を抱えた。
騙された伊之助は、硬直している。


「い…………い、伊之助?」


恐る恐る善逸が名前を呼べば、ギョロっとした猪の目玉がこっちへ向けられた。
善逸はそれに悲鳴を上げ、俺は視線を逸らす。


「……てめぇら…………まさか、俺様に嘘ついたんじゃねぇだろうな?」

「ヒッ!ち、違っ……」


任務時と比べ物にならないくらいの怒気が、伊之助の声に含まれていて善逸はたじろいでいた。


「もしそうなら、この場でぶっ殺す。」

「違うんだって!伊之助!これには、海より深い訳が…」

「善逸は、関係ないよ伊之助。俺がそう仕向けたんだ。」


顔を真っ青にして、冷や汗を流しながら後退していく善逸。


「オイ、善逸。お前の足下の山苔、温泉の湯で濡れてるから危ねぇぞ。」


善逸の体が揺れた。
その忠告を聞いて善逸の状況を見て、俺は慌てて手を伸ばした。


「善逸っ!」


けれど遅くて。
そのまま背後へ倒れていった善逸は、その先に運悪くあった岩に後頭部をぶつけて意識を失った。


───

「これが温泉か。風呂よりずっと気持ちがいいな。」


騙した俺や善逸に憤慨して殺す、と言っていた伊之助だったが今はそれもなかったかのように温泉を堪能していた。


「あんま長く入ってるとのぼせんぞ。」


先にお湯から出た師範が注意を促すが、指図するな、と言いジャバジャバ、と泳ぎ始めた。
それを見て舌打ちと共に毒づく師範だけど、そこまでの怒りはなさそうだった。


「で?紫音、そのアホの具合はどうだ?」

「ん、まだ。頭強打してるから、ここで様子見てる。」


温泉に思わぬ形で浸かってしまった善逸。
全身ずぶ濡れで、介抱してる俺の隊服もおかげで濡れてしまった。


「混浴……」


時折、そう呻く。
それを哀れ、とも思うけど、誰と入ってるの?、と俺の中に黒い感情を生み出してくれている。


「雛鶴たちはどうした?」

「皆の朝飯(breakfast)作りに戻ったよ。温泉は改めて夜に入るって。師範もそろそろ行きなよ。」

「チッ…異国語やめろって。言われなくても、分かってるわ。」


あぁ言えば、こう言う師範。

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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