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「悔しいんだなぁ?自分の弱さが…人は嘆く時、天を仰ぐんだぜぇ?涙が溢れねぇようになぁ!」
確かに、そうかもしれない。
けど、炭治郎の場合別な時でも天を仰ぐ事を俺は目の当たりにしている。
「俺は…俺は…準備してたんだ!」
そう言ったかと思うと、次に聞こえてきたのは鈍い音にしては派手なものだった。
それを聞いて俺は、あぁ…やったな、と思った。
脳内に蘇るのは、杏寿郎の父親にぶち当てた時の頭突きの光景。
「お兄ちゃん何してるの!?早く立って!」
堕姫がそう急かすが、どうやら妓夫太郎は立てないようだ。
「くない…!?頭突きと同時に刺された…だとぉっ!?」
妓夫太郎の動揺の音と共に、炭治郎の気合いの声。
その後には、堕姫の兄を心配する悲鳴じみた声が聞こえた。
辺りに炭治郎の声が響く。
「んぐっ…」
「善逸…っ!」
瓦礫と俺の重さもあるからか、俺以上に苦しげな声をあげている。
これ以上、無理はさせない。
君は、ピーピー泣き喚くか俺に鳴かされるかだけでいい。
君に降りかかる災厄は、約束通り俺が振り払うから。
「ちょっと!嘘でしょ!?そんな奴に頸、斬られないでよっ!」
堕姫が、帯で妓夫太郎の援護に回った。
今だ。
俺は爆音を立てて瓦礫から抜け出し、その帯を一閃・陸弦で帯を斬り伏せる。
後ろを振り返った堕姫が、宙にいる俺を捉える。
「退けっ、不細工!」
「
暴言と共に、堕姫は俺へ帯を向けてくる。
それを躱しながら、斬って踏みつけ前進する。
「音の呼吸 弐ノ型…」
「あんたの技、ただ五月蝿いだけよねぇ!あの、派手派手言う柱の継子…だったかしら?」
「前奏曲・目覚め…音速っ!」
過去一の速さで貫く俺の一閃。
けれど、まだ足りない。
それすらも帯で対処されてしまった。
「遅いっ!遅いわよ!まだ、あの黄色い不細工の方が速かったわ!」
「本当…キンキン五月蝿いよね、君って。」
「あんたの方が五月蝿いわよっ!」
ここにきて、なんだか幼稚な言い合いをしてしまった。
自嘲が漏れた俺に、何笑ってるんだ、と突っかかってくる。
「
「また同じ技ね…欠伸が出るわ!」
「前奏曲・目覚め…神速っ!」
音は秒速三百五十メートルだ。
その壁を、今、俺がぶち破る。
堕姫の頸が帯になって、簡単には斬れない。
けれど、今以上の機会はもうこないと思うから。
ここで…
斬る…!
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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時