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俺の口から出る出まかせに伊之助は、見事食らいついた。
「それに入りゃあ、あの祭りの神より強くなれるのか?」
「ん、あんなの目じゃないよ?継子の俺が言うんだから、さ?」
隣から嫉妬の音が聞こえてくる。
それもそうか。
伊之助の助力を得るが為に、無駄に俺は
「じゃあ、あの半々羽織もか?」
「半々羽織?……善逸、誰か知ってる?」
「知るわけないだろ!?誰だよっ、半々羽織って!」
思わず誰の事を言ってるのか見当もつかず、善逸に聞くが返ってきたのは否だった。
「その半々羽織もきっと倒せるって。だから、今すぐ一緒に掘ろうぜ。混y「俺たちの夢の温泉をさ?」
せっかくの苦労を、善逸の一言で水泡と化すところを俺が遮ってやり過ごす。
黙ったままの伊之助を見て、さすがにわざとらしかったか、と心配になった。
「いける?」
「どう、だろう……」
伊之助を見たまま、俺と善逸は小声でやりとりする。
そんな俺たちを他所に、伊之助は叫んだ。
「掘って掘って掘りまくるぜ!忠逸!むらさき!俺様について来な!!」
その様子に、思わずホッ、としたのは伊之助には秘密で。
───
伊之助の"勘"と、俺と善逸の"音"。
その二種を使っても、源泉を探すというのはそんな簡単な話じゃない。
師範が所有してる稽古場の山だよ?
広いし、険しいに決まってるよね。
可能性がある場所が見つかっても、深く掘らないと湧き出るものは湧き出ない。
それに、そこまでやったとしても空振れば心を燃やしていても、折れそうになるものだ。
「どういうことだ!?なんもでねぇじゃねぇか!」
「
「むらさき語、喋んな!」
温泉は出ないし、俺の言葉は分からないしで、伊之助は俺の腰に蹴りを出てきた。
「伊之助!紫音に当たるなよ!仕方ないだろ?俺だって、温泉なんか掘るの初めてなんだから。」
「……違うもの掘るのなら経験あるけど、ね。」
「なーんか言ったぁぁ??」
にっこり、と音が聞こえそうな笑顔で俺を見てくる善逸。
なんだろう。
この既視感。
どこか、しのぶの笑顔に似ているのは。
何故だ?
「
言いながら視線は善逸から外れて、あらぬ方向。
そんな俺のつま先を、善逸は思いっきりダンッ!、と踏みつけた。
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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時