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温泉は飲んだりもするから、ある意味正解ではあるけど。


「"一矢報いる"とかいう言い回しや、変な古語で出来た古くさい歌とかは知ってるくせに、温泉知らねぇとか、お前ホント変わってるよね。謎だよ。お前っていう存在全てが謎。わけんかんない。」

「善逸、言い過ぎじゃないかな?」

「グチグチ言ってねぇで、さっさと食わせやがれ!この鈍逸が。」


善逸も善逸だが、伊之助も伊之助だ。
それくらいの間柄、なんだろうけど。
その後も二人で、あーでもないこーでもない、と言い合いを繰り広げている。
そんな二人のやり取りを見守りながら、俺は伊之助のある可能性を持っていることに気付いた。

嘴平伊之助って、山育ちで鋭い感覚の持ち主であることに。
ただ、伊之助は基本的に他人の話を聞かない。
無限列車の時も、速さ比べをしたがって酷かったのを記憶している。
さて、どうしたものか。


「蒟蒻じゃなくて、混浴だって。」

「蒟蒻がどうして風呂なんだよ、頭大丈夫か?」

「お前に言われたくないよ!」

「Hey、伊之助。」


あ?、と善逸から俺へ視線を向けてきた。
猪頭を被ってるから、本当に視線が合ってるのかは知らないけど。


「もっと、強くなりたい?」

「あぁ?当たり前な事言うんじゃねぇよ。普通、強くなりてぇだろ。弱味噌のこいつと一緒にすんな。」


そう言いながら、善逸を指差して言い放つ。
善逸はいいんだ。
このままで。


「なら、今すぐにでも温泉に入るべきだよ。」

「はぁ?」


断言する俺に、伊之助は首を傾げる。
善逸なら可愛いのに、猪頭がそれをしても可愛さなんてありはしない。
中の美少女顔でされたら、何かしらくるものはあるだろうけど。


「なんで風呂入って強くなんだよ。お前、紋逸と一緒に居すぎて頭とうとうやばくなっちまったんじゃねぇか。」


否定したいところだが、温泉を掘り当てる為の助力を得るにはここで否定しては元も子もない。
"嘘も方便"、と言うし良いよね?


「知らないのか、伊之助?温泉ってそれぞれ効能が違うんだけど、この山に眠ってる温泉は、"入ると強くなる成分"が大量に含まれてるんだ。」


俺の隣で、息をするように同期に嘘を吹き込む善逸。
一瞬だけ目が合い、それが任せて、とでも言っているようだった。


「入ると強くなる……成分だと?」


目の前の猪から、ごくり、と喉が鳴った音が鼓膜を打った。


「そんなもんが、あんのか……」

「ん、この山にはね。」

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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