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そこには、嫌味なくらいの男前な師範が片目を細めて立っていた。


「そりゃ、残念だなぁ。温泉を掘り当てたら、"混浴"にするつもりだったんだが。」

「こ、ここここここここここ混浴ぅ……っ!?」


女の子大好きな善逸が、過剰なまでにその単語(ワード)に反応した。
善逸、という恋人がいるとはいえ、俺もそれには抗うこと無く師範へ視線を注ぐことになった。


「こここ混浴って、あ、あれ?アレかな?男女が一つの湯に浸かる……あ、あの幻の「ああ。」


師範が首肯するのを見て、善逸が感動に打ち震えている。


「善逸、待って。騙されちゃ駄目だよ。今回参加してる隊士に、女の子いない。」


俺がそう言えば善逸は、ハッ、となって、目がジト目になった。


「そうじゃん、野郎に囲まれて風呂なんて、なんも面白くねぇわ。……紫音とならいいけど。」

「善逸……」


ポッ、と頬を赤くした善逸がそう言うから、俺も思わず見つめ返した。
二人の世界になりかけたところへ、師範の咳払い。


「雛鶴。」


ボソリ、と嫁三人衆の一人の名前を呟く師範。
それを訝しげに俺は見やった。
その後、まきを、須磨、と続いた。


「紫音、忘れたのか?ここには、あの三人もいるぜ?善逸。てめぇも、あいつらが作った飯、食っただろ。」


言われてみれば確かにそうだった。
師範あるところに、嫁三人衆あり。
そう言っても過言では無い程に、雑務をこなしている。
脳内の三人が、笑いかけてくる。


女性らしくお淑やかに微笑む、雛鶴。

勝ちきな笑みを浮かべる、まきを。

眉尻を下げて困ったように笑む、須磨。


その下にある景色は、豊満な乳房にふくよか過ぎず締まりすぎてない腹、そして乳房に負けず劣らずの臀部。
想像するのに容易い程、俺は同じ空間と時間を有していた。


「あいつらは温泉に目がねぇからな。知ってるだろ、紫音。」


知ってる。
知らない方がおかしい。
温泉の情報をどこからともなく仕入れては、師範を伴って出かける程だ。
両刀の俺としては、善逸には申し訳なく思うけれど無意識に生唾を飲み下していた。


「…………ど、どーせ、"忍たるもの服着て入る"とか、そんなオチでしょ?はいはい、分かってるから。アンタの考えそうな事ぐらい、ちゃーんとお見通しですよ。」

「ハァ?温泉入んのに服着て入るわけねぇだろ。忍だろうがなんだろうが、裸だよ。裸。」


師範による爆撃で、俺も善逸も何かが崩壊して師範へと近づく。

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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