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106´ ページ18

「……星、綺麗だな。」


蝶屋敷の門前、横の壁に俺は背中を預けて空を見上げている。
空を見上げている理由?
チュン太郎を待ってたりする。
いや、チュン太郎"を"というよりチュン太郎"が"持ってくるであろう手紙を、なんだけど。


「…遊郭での戦いが終わってから、もう二ヶ月か。」


文字でのやり取りはしていても、それだけの期間俺は紫音に逢えていない。
任務が重なることも、道中すれ違う事も無かった。


「……逢いたいよ、紫音。」


ふと、俺は懐へ手を突っ込んだ。
そして、中から"ある物"を引っ張り出す。
紫水晶の根付け。
俺が任務復帰することになった時、紫音だと思ってって渡された物だ。
俺はこれがあったから、逢えなくても弱気な事を言わずになんとか任務をこなせたんだ。
右手で握りこんで、胸に当てる。


「紫音……」

「呼んだ?」


パッ、と顔を上げれば目の前に紫紺色の目と合った。
けど、すぐに違和感。
隊服なのに、いつも額に着けてる紫水晶の飾りがない。


「……なんか、足りなく無い?」

「え?」

「ほら、いつも着けてる紫水晶の…」

「あぁ、額当てね。……ないと、変?」


笑ってるけど、紫音は困った笑いで俺は首を横に振ってそれを否定する。


「良かった、変だって言われたら取りに戻るところだったよ。」

「変なわけないじゃん…あってもなくても、紫音は格好いいよ。」

ありがと(サンキュー)。善逸は、怪我とかない?」


紫音の左手が、俺の右頬を撫でる。
俺はそれに猫のように、目を細めて撫でられる。


「うん、大丈夫だよ…紫音がくれた、これのおかげだね。」

「それは良かった。」


それだけで紫音の手が離れると思っていたのに、違った。
離れるどころか、今度は指の背で頬を撫であげられる。


「んっ……」

「…善逸、今夜はどうするの?泊まるところ。」

「蝶屋敷に、泊まるつもりでいたよ。」

「……蕎麦屋、行かない?」


こんな時間に蕎麦屋?
やってないんじゃない?
そんな意味を込めて紫音の目を見れば、その奥に色欲が見えた。
え、そういう?
そういう事なの?


「……二階って、こと?」

「ん……善逸がNO(ダメ)って言うなら、接吻(キス)だけして俺は帰るよ。」

「帰んないでくれない?……そうしたいって思ってるの、紫音だけだと思わないで。」


離されそうになった手を、俺は左手で掴んでいた。
心臓バクバクして、まろび出そうだよ。

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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