音の継子は我妻善逸に過保護3 (ページ17)

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久しぶりの自室へ足を踏み入れれば、埃ひとつ無く綺麗に掃除されていた。
ただ、任務に持っていくと破損する恐れがある為卓の上で留守番を頼んでいた笛だけが俺が置いた場所とは若干ズレていたが。

｢雛鶴さん、かな……｣

部屋を見渡してから、勝手にそう完結させる。
まきをなら、嫌がらせに俺と善逸の手紙を卓上に出しているだろうし。
須磨に関しては、論外だ。
掃除前以上になるだろう。
額当てを外しながら窓を開ければ、秋風が吹き込む。
外した額当てを卓前に座りつつ卓上に起き、交換するように笛を手に取った。

｢君の笛の音は、いつ聴いても和む。｣

｢面と向かって褒めないでくれない?照れるんだけど……｣

｢良いではないか!我ら鬼殺隊員は、常に死と隣り合わせなんだ。伝えられる時は、伝えて起きたいんだ俺は。｣

｢ん……なら、杏寿郎も聴いてくれてサンキュー。｣

脳に回帰した記憶。
それを機に杏寿郎は俺が笛を奏られる事を知って、三回目の遭遇で高級な笛を渡してきた。

｢いつか、この笛を奏でるのを君の隣で聴いてみたいものだ。｣

｢何、口説いてんの?｣

｢口説っ!?戯け!誰が口説くか!｣

｢顔真っ赤だと、説得力ないよ?｣

真っ赤な顔で、うるさいっ！、て背中向けたんだ。
笛をGift(贈り物)することの意味を、杏寿郎(君)は理解していたのだろうか。

｢……"貴方の元に幸せを呼び込む"か。ある意味、君のお陰だよ。杏寿郎。｣

ボソリ、と呟き笛にそっと口を寄せる。
息を深く吸って、優しく息を笛へ送り込んだ。
そこへ、音色に釣られたのか窓をくぐって卓上へ小さな何かが降り立った。

｢チュン！｣

｢……うこぎ、どうしたの？｣

笛から口を離せば、笛は沈黙する。
いつもの様にうこぎの足には、手紙が括り付けられてある。
笛を置いて、それを取って開く。

｢……"炭治郎、蝶屋敷で療養中。俺も蝶屋敷にいる。"｣

善逸にしては珍しく、そこで手紙は終わっていた。

｢一言、来れるか書けばいいのに。｣

逢いたい逢いたい書く善逸が、何故ここで照れたのかは謎だ。

｢うこぎ、一緒に行こうか。｣

｢チュン！｣

健気だよね、うこぎって。