102 ページ14
任務で、善逸と同じ雷の呼吸の隊士と一緒になった。
善逸の優しい音とは違った、どこか刺々しい音をさせた隊士。
聞けば、善逸と同門だと言う。
けれど、俺は違和感を抱かざるを得なかった。
合同任務中、鬼との戦闘でその隊士は俺が知ってる"雷の呼吸 壱ノ型"を一度も使わなかった。
どんなに鬼との距離が開いていたとしても。
「大したこと、無かったな。」
「ん…その割に、傷作ってるよね。」
「るせぇなぁ。」
「手当てするから、来て。」
ウィステリアの家紋の家に立ち寄るほどでもなく、ましてや蝶屋敷へ行かねばならない怪我でもない。
そんな怪我を負った獪岳を、俺は座るように切り株へと呼ぶ。
「んな傷、唾付けときゃ治る。」
「
「あ゙?今、何か言ったか?」
「別に?」
同じ雷の呼吸を使う人間でも、
そう感じていた。
とにかく、音が刺々しくて耳に刺さって痛い。
そこへ紫衣奈が飛んできて、次の任務も近隣だからと近くのウィステリアの家紋の家で休むよう言われた。
「ドウシタノ?ナンカ不機嫌ジャナクテ?」
「
「……ソウ。」
紫衣奈へ向けていた視線を、俺は他へと向けた。
そこには、自分の鎹鴉と何やら話をしている。
一言言ってから、紫衣奈は俺の肩から飛び去って行った。
「……何見てんだよ、見せもんじゃねぇぞ。」
「自意識過剰……それで、君はこれからどうするの?」
「お前に関係ねぇだろ……近場で任務だとよ、今夜は藤の花の家紋の家で休めとさ。」
同じような内容に、思わず俺の眉間に皺がよった。
また同じかもな、と嫌味ったらしく笑う獪岳。
その笑いに俺はため息で返した。
───
「……
「訳わかんねぇ事言ってねぇで、早く進めよ。つっかえてるだろ。」
ゲシッ、と膝裏を蹴られ、俺の膝からカクッ、と力が抜け危うく後ろへ倒れるところだった。
だっせぇ、と言いながらケタケタ笑う獪岳に俺は軽く怒りを覚えた。
主人に案内された部屋。
何故か俺の目の前には、刀を放り投げ早々に大の字になった獪岳がいる。
「
「突っ立ってねぇで、お前も休めよ。」
紫水晶の飾りのついた額当てに手をつけて、盛大にため息をつく俺は間違ってはいないと思う。
……善逸なら、良かったのに。
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時