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機能回復訓練もしのぶの診察も無事に終え、復帰許可が下りた。
そんな俺の下へ、任務を運んできた紫衣奈と一緒に何故か善逸の鎹雀のうこぎがやってきた。


「あれ、うこぎ?」

「チュン!」

「手紙ダソウヨ。」

手紙(レター)?」


小さなうこぎを見れば、その体には見合わない紙を足に括り付けていた。
それを取って広げれば、そこには怪我の経過や、道中の出来事、どんな鬼が相手だったか等、ツラツラと書き連ねられていた。


善逸(アノ子)、ナンダッテ?」

「……逢いたいって。」


手紙の最後の最後。
意識しなければ見落とすレベルの小ささで、書かれていた。
"紫音に、逢いたい"という文字の羅列。
どの文字よりも感情がこもった一文に、俺は無意識に目を細めていた。


「紫衣奈、任務って同じ方面?」

「残念ナガラ、真逆ヨ。」

「チッ…」


なんて気の利かない上だ。
そんな事を思いながら、自然と舌打ちしていた。
どことなく、うこぎもシュンとしているように見える。


「ちょっと待ってて、うこぎ。」

「チュン?」


コテッ、と首を倒すうこぎに、一瞬だけ善逸が重なって見えた。


───

きよちゃんに手紙用の紙や筆を用意してもらって、善逸への返事をしたためた。


「うこぎ、これ善逸に頼むね。」

「チュンッ!」


足に書いた手紙を括り付けそう頼めば、うこぎはビシッとコミカルに敬礼をして見せた。
飛び立つうこぎを、紫衣奈と共に見送る。


「アナタハ任務ヨ。」

「分かってるよ、紫衣奈。」


隊服に着替え、額当てを着ける。
刀を背負いながら、鏡越しに紫衣奈を見つめた。


「…任務地に向かう前に、音屋敷寄っていいよね?」

「…遅クナルワヨ、到着。」

「鬼は日中動かないでしょ。」

「好キニナサイ。」

ありがとう(サンキュー)。」


里にいる間に会っておこうと思った。
俺がどうにかなるかもしれないし、師範(あの人)たちが里を出てしまうかもしれないから。


「きよちゃん、筆とかありがとう(サンキュー)。助かったよ。」

「いえ!鏡月さん、復帰…ですか?」

「ん、行ってくるよ。」


小さなきよちゃんをハグしたら、腕の中ではうっ!、と声を上げていた。


「ちっ、近いですっ!」

「挨拶だよ?なほちゃんたちにも、よろしく言っといて。」


真っ赤なきよちゃんを解放して、俺は紫衣奈を伴って蝶屋敷を発った。

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春月是駒(プロフ) - すずめさん» ありがとうございます!書ききれるように、頑張ります! (12月9日 14時) (レス) id: 6d8cf13a77 (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - めっちゃ好きです…応援してます (12月9日 13時) (レス) @page45 id: 200c70ae26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年8月19日 18時

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