音の継子は我妻善逸に過保護3 (ページ2)

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襲いかかってくる帯を俺たち四人は各々、躱しては斬り、受けてはいなしつつ攻撃の隙を窺う。

｢伊之助ぇっ！｣

｢紫音っ！｣

炭治郎と善逸が、今だ！と言わんばかりに声をかけてきた。

｢行くぜぇっ！遅れんじゃねぇぞっ、子分共！｣

｢なった覚え…ないって！｣

しっかりと地に足を付け深く息を吸い込めば、音の呼吸独特の呼吸音が耳を打つ。
足を止めているため、俺と伊之助は格好の的。
容赦のない堕姫の帯が、迫ってきている。
それを伊之助の前で炭治郎が、俺の前で善逸が対応してくれる。

｢っ…音の呼吸陸ノ型…っ！｣

｢獣の呼吸捌ノ型っ！｣

守る、と誓った相手に俺は今守られている。
それに歯噛みしながらも、無理やり意識を目の前の堕姫へ注ぐ。
狙うは頸、一点のみ。

｢荒廃への狂詩曲(ラプソディ)っ！｣

｢爆裂猛進っ！｣

俺も伊之助も、守ることを捨てた特攻の型で堕姫の頸を狙って直進する。
その間も、帯は無数に襲いかかってくるが伊之助の隣から炭治郎が、俺の隣で善逸が流流舞いや霹靂一閃・六連で応戦してくれている。
俺と伊之助の四本の刀が、堕姫の頸に触れた。
堕姫も鬼にしては細い腕を交差して頸を斬らせまい、と咄嗟に守りに入った。

｢今度は決めるぜっ！｣

｢斬れないわよっ！斬れるわけないっ！｣

｢侮らないでくれる…っ？｣

｢陸ノ牙…っ！｣

その声に俺は"斬る"為の力の入れ方から、"押さえる"為の力の入れ方へとシフトチェンジした。

｢You can kill her...!(斬っちゃいなよ…!)｣

｢何言ってっか…分かんねーっつの！乱杭咬みぃぃっ！｣

堕姫を押さえつける俺の隣で伊之助が、左右の故意に刃こぼれさせた刀を交互に前後運動させていく。
それはまるでノコギリのようだ。
そのまま太い頸骨をも斬った為、ギザギザな切り口の堕姫の頸がぽんっ、と体から離れ宙を飛ぶ。

｢やった…！伊之助っ！｣

感嘆の声を上げる炭治郎を放っておいて、伊之助はそのまま堕姫の頸を掴みそのまま走り出した。

｢頸…っ、頸、頸っ！くっつけらんねぇようにっ、持って遠くへ走るぞっ！｣

それを逃がさんとばかりに、伊之助の背後から堕姫の帯が強襲する。
器用に避ける伊之助の感知能力は、伊達じゃない。

｢とりあえず俺は、頸持って逃げまわるからなっ！お前らはおっさんを加勢しろぉっ！｣

｢OK…！｣

｢気をつけろっ、伊之助！｣

｢おうよっ！｣

そう言って師範の方へ向かおうとした。