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「あのっ、ちょっと…もう少し……っ!」


話を切られてしまった炭治郎が、慌てるが煉獄はそんな後輩に継子になれ、と勧誘しはじめた。


「面倒みてやろう!」

「待ってください!そして、どこを向いているんですか!?」

「変な人だな…」

「うん、変わってるよね。」


小さく零した言葉を拾ってそう返せば、善逸の視線が煉獄から俺へと向けられる。


「友達なのに、変な人って言っちゃうんだ。」

「実際、変わってるからね。聞いた話だけど…鬼を滅殺する為に、自分で鼓膜破っちゃったらしいよ?」

「うわ……」


煉獄本人から聞いた事を話せば、善逸は引いた顔をしていた。


「炎の呼吸の歴史が古い。炎と水の剣士は、どの時代でも必ず柱に入っていた。炎、水、風、岩、雷は基本の呼吸だ。他の呼吸は、それらから枝分かれして出来たもの。霞は、風から派生している。」


その話を聞いて、俺は目の前で窓の外を眺めている伊之助をチラッ、と見やる。
煉獄が言った呼吸に当てはまらない、"獣の呼吸"。
本当に我道なんだな、と変なところで納得がいった。


「溝口少年、君の刀は何色だ?」

「え!?俺は竈門ですよ!色は黒です。」

「黒刀か!それはキツいな!」


どこに笑うべき要素があったのか謎だが、煉獄は笑った。


「杏寿郎、黒刀(ブラックソード)だとキツい訳は?」

「紫音、分かんないから。異国語になってるよ、それ。」

「ん?あぁ…黒刀だとキツい理由。」

「うむ、黒刀の剣士が柱になった事を見たことがないからだ。さらに、どの系統を極めればいいか分からないと聞く。」


I see...(なるほど…)、と呟いて右手拳に顎を乗せた。


「俺のところで鍛えてあげよう!もう安心だ!」

「いやっ、いやっ!そして、どこを向いているんですか!?」

You're a passionate man,raelly.(君は熱い男だよ、本当。)

「異国語は分からない、と会う度に言っているだろう。」

ごめん(ソーリー)、けど慣れてよ。」


煉獄のお小言に全く思ってもいない謝罪を口にして、俺は苦笑った。
真向かいの善逸からも、ジトーッ、とした視線。


「異国語喋っても、違和感ないんだよな。……腹立つ程に。」

「一欠片も思ってないでしょ、そんなこと。」


ジト目で見つめていても、心からは嫌いって音は聞こえない。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時

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