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遅れて伊之助が、宙返りしつつ屋根へと飛び乗って来た。
「うおっ!目が三つ!?」
視界に捉えた堕姫を見て、そう驚く伊之助。
「
「五月蝿いよ、キンキン声で喋らないでくれる?」
眉をしかめ右耳を軽く押さえて、俺はそう堕姫へ言った。
その隣で、善逸が刀を握り直したらしくカチャ、と鳴ったのが聞こえた。
「五月蝿い、ですって…?」
「ん……
「何言ってるか分かんないわよ?けど……腹立つわねっ!」
そう言うや否や、堕姫は屋根に突き刺してある帯とは別の帯何本かで俺たちを攻撃し始めた。
ぐにゃりぐにゃり、と軌道を何度も変えて襲いかかる帯に俺たちは意図も簡単に翻弄されてしまう。
「あたしに近付く事すら、出来やしないっ!」
楽しげに笑っているかと思えば、そう言って俺たちを煽る堕姫。
「蚯蚓女っ!てめぇこそガタガタ言わずっ!悔しかったらやって見やがれっ!」
敵の煽りに伊之助は煽り返しながらも、なんとか帯を斬り伏せていた。
そんな煽りにニヤリ、と笑った堕姫は、乗せられてあげますよ、と言わんばかりに帯を屋根へと突き刺しながら攻撃を激化させていく。
「伊之助、煽らないで…!下の師範たちの、負担になるから…っ!」
「分かってるじゃないっ!でも遅いかもねぇっ!あいつなんか…もう、死んでるわよっ!」
「師範は…そんなにヤワじゃないよ…っ!音の呼吸 参ノ型、失意への
俺へと集中した帯を、俺は球体をなぞるような太刀筋で斬り伏せた。
爆音と共に散り落ちる帯と、円を描くように抉られた屋根の破片がパラパラと落ちていく様はどこか夜空に咲いて散る花火のようだった。
下の方では師範が鳴弦奏々を使ったらしく、爆音が前方へと遠ざかって行った。
───
堕姫は、何本もの帯で縦横無尽に攻撃をしてくる。
それに対応するように、屋根から屋根へ左へ右へ躱しては前へ上へと跳んでは攻撃を試みていた。
にも関わらず、何処からか血の鎌までもが飛んできている。
「きゃはははははははっ!死ね死ね!不細工共っ!」
「蚯蚓女に全っ然近付けねぇっ!くそっ!」
伊之助が跳び、帯を叩き斬ってそこを強襲されるがその前で善逸が刀を構えて帯は中心で裂かれ両側へと散っていく。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時