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「勝つぜっ!俺たち鬼殺隊はっ!」

「勝てないわよっ!頼みの綱の柱が、毒にやられてちゃあねぇ!」

「毒ッ!?」


やっぱり、そうか。
いつもと違う音がすると思ったら、そういうことか。


「余裕で勝つは、ボケ雑魚がぁっ!毒回ってる位の足枷あって、トントンなんだよ!」

「強がってんじゃないわよっ!」

「うるせぇ!人間様を舐めんじゃねぇ!」


そう、強がり。
ただの師範の虚勢。
けど、それで心が奮い立つなら虚勢だろうが何だっていいんだ。


「こいつらは四人とも、優秀な俺の継子だ!逃げねぇ根性がある!」

「ははっ、まぁなっ!」

「手足がちぎれても食らいついてあげるよ……っ!」

「そして、てめぇらの倒し方は既に俺が看破した!同時に頸を斬ることだ!二人同時にな!そうだろ!?」


斜め前に立つ師範が、そう言い放つ。


「そうじゃなければそれぞれに能力を分散させて、弱い妹を取り込まねぇ理由がねぇ!」


その発言から、目の前に立つ痩せこけた男の鬼は兄で、頸を刎ねられてピーピー泣きわめいていた帯の女は妹なのだと知った。


「はっはぁーっ!チョロいぜお前らっ!」

「ムッハハハ!なるほどなっ!簡単だぜっ!俺たちが勝ったも同然だなぁっ!」

「二人して挑発しないでくれないかな…They'll scoop your feet up.(あいつらに足元掬われるよ。)

「紫音、異国語。」

ごめん(そーりー)。」


善逸に言われ、てへっ、と舌先をチロリ、と出すが妹の鬼に見て見ぬふりされた。


「その簡単な事が出来ねぇで鬼狩りたちは、死んでったからなぁ。柱もなぁ!俺が十五で、妹が七…喰ってるからなぁ。」


妓夫太郎はニタリ、と鬼らしい笑みを浮かべて俺たちを見ている。
それに便乗するように、妹鬼・堕姫が夜明けまで生きていた鬼狩り(やつ)はいない、と自慢した。
俺の隣りで、善逸の足が微かに動いた。


「長い夜は、いつもあたし達を味方するから。どいつもこいつも死になさいよっ!」


立ち上がった堕姫が、ほぼノーモーションで師範へ帯で攻撃を仕掛けた。
それに驚き目を見開いた師範と、それを読んでいたかのように一閃六連を放った善逸。
そのまま堕姫は、天井を突き破り善逸と共に夜空へ打ち上がった。


「善逸っ!」

「蚯蚓女は、俺と寝坊助丸とむらさきに任せろっ!お前らはその蟷螂を倒せ!分かったな!?」

「伊之助、行くよ…!」

「二人とも気をつけろっ!」


おうよ!、と返す伊之助と共に、俺は善逸を追った。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時

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