検索窓
今日:35 hit、昨日:67 hit、合計:4,155 hit

86 ページ46

師範の音がする建物の前に、禰豆子を膝に抱いた炭治郎がいた。


「ナッハハ!俺が来たぞコラァ!ご到着だボケェ!頼りにしろ、俺をっ!」

「伊之助、煩いよ。」

「伊之助!善逸!鏡月さん!って、善逸寝てるのか?」


傷だらけで禰豆子を抱き抱えたままの炭治郎がそう聞いてくるが、伊之助が雄叫びを上げて遮った。
微苦笑を浮かべていた俺だが、鬼の特徴的な音が増えていることに気付いた。


「鬼が…増えた?」

「っ!!三人とも!宇髄さんを加勢してくれ!頼むっ!」

「任せて安心しとけコラっ!大暴れしてやるよっ!この俺様…伊之助様がド派手になっ!」

「……ある意味、もう派手だからいいよ伊之助は。師範の加勢は任せて。」

「すみません…っ!」


そう言うなり炭治郎は、禰豆子をいつもの箱へ戻すと言って駆けて離れて行った。


「お前は段々と死んでいくんだろうしなぁぁ…こうしてる今も、俺たちはじわじわ勝ってるんだよなぁぁっ!」

「それは、どうかな?」

「この俺様と、その手下がいるんだぜっ?」

「なった覚えないから。」


キッ、と軽く睨むが伊之助には全く効果はない。
善逸は、凛々しい顔つきで寝ている。
鼻ちょうちんをぶら下げて。


「なんだぁ?こいつらぁ…」


刀に手を添えて、俺は瞬時に状況把握を試みる。
師範の前には、ガリガリに痩せこけた鬼。
奥の方で師範に首を斬られたのか、頭を押さえている蚯蚓帯と同じ音がする鬼。
そして、師範から聞こえてくる呼吸音が乱れは無いもののどこかおかしい。
上から音がする、と思えば、師範とガリガリな鬼・妓夫太郎の間に炭治郎が降ってきた。


「はぁ……?」


カチャリ、と刀を握り構えた炭治郎。
外の遠くの方から、人々が避難していく音が微かに聞こえてきていた。

走って荒くなった呼吸を整えている炭治郎。

強気に笑う伊之助。

凛々しい顔つきなのに鼻ちょうちんを下げて寝ている善逸。

そして、音柱・宇髄天元の継子の俺。


「てめぇら……派手な登場じゃねぇか…!気に入ったぜ!」

「今更過ぎて、地味だよ師範?…結構前から、派手に気に入ってるよね俺の事。」

「……うるせぇ、黙ってろそれは。」


場違いな自惚れは、師範に睨まれなりを潜める。


「はっ…下っ端が何人来たところで、幸せな未来は待ってねぇからなぁぁ?全員死ぬのにそうやって…瞳をキラキラさすなよなぁぁっ!」


左のこめかみをイライラしながら、掻き抉る鬼。

87→←85



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。