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蝶屋敷前で、三人娘のなほ、きよ、すみが瓢箪を三人へ差し出した。
「懐かし…常中が出来れば割れるんだよね。」
「紫音もやったの?」
「やった、師範に派手に割って見せろって言われたよ。」
「よぉし!派手に割ってやるぜ!」
炭治郎も善逸も、伊之助の言葉に頷いて瓢箪を手に取って口をつけた。
顔を赤くしながらも、見事に割って見せた三人を三人娘が自分の事のように喜んでいた。
「はい!」
「うわぁ、ありがとう!」
ぎっしり詰まった数個のおむすび。
伊之助が食べようと手を伸ばすのを、俺と善逸が止めるが結局伊之助は両手に持って食べていた。
「いっぱい鬼を倒してくださいね!」
「頑張るよ!」
「伊之助、後で食べられなくなるよ。」
「やめろって!」
実力行使でやめさせようとするが、さすがは山育ち。
食い意地が凄い。
その間に炭治郎が、俺たちから離れていた。
「鏡月さん、お気をつけて…っ!」
「なほちゃん、泣かないで?帰ってくるから。」
そう言って、別れの挨拶代わりに抱きしめる。
「きよは、泣きませんよ…っ!」
「それはそれで、悲しい…かな?」
なほの次は、きよ。
「鏡月さん、どっちなんですか…泣くなとか泣いてほしいとか…」
「俺は、笑ってほしい…かな?」
最後にすみ。
「ちょっとー?もしもーし?紫音、距離おかしくない?ねぇっ、おかしくないっ!?何、気安く抱きしめてるの!?しかも、俺がいる目の前で!!」
「善逸、違うよ?挨拶だって…」
「どこがだよ!見ろっ!なほちゃんたち、満更でもない顔してんのわかんないのかねっ!」
そんな善逸を見て、三人娘たちがあわあわし始めた。
「善逸、なほちゃんたちが困ってるよ。」
騒ぐ善逸の頭を、紫音がぽすぽす、と撫でれば少し落ち着いたようだった。
「皆さん、お達者で!」
「皆…俺と別れるのが寂しいんだね?俺だけ残ってもいいよぉ?」
「善逸さんは少し…女の子に対して、気遣いや節度を覚えてくださいね?」
「はい…」
ちょっと前に嫉妬してたかと思うと、すぐにいつもの善逸節に俺は苦笑するしかなかった。
その左前で伊之助は、ホワホワ、してた。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時