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「紫音、行くぞ。」
「ん……」
炭治郎たちとの定期連絡の時間。
師範に声を掛けられ、善逸捜索に集中していた俺は意識を師範へと向ける。
「……お前の意見を聞くべきだったかもしれねぇな。」
「え……?」
「…
俯きそう言う師範からは、確かに自責の念が感じられた。
俺の言葉を待たずに、師範は責め苦から逃げるように離れていった。
───
「そろそろ宇髄さんと鏡月さん、それに善逸が定期連絡に来ると思うから…」
「こうなんだよ!俺には分かってんだよっ!」
「う、うん……」
「善逸は来ないよ。」
二人は、音もなく現れた俺たちに多少なり驚いている。
けれど、直ぐに炭治郎は善逸が来ない理由を求めた。
「お前たちには悪い事をした、と思っている。……俺は、嫁を助けたいが為に幾つもの判断を間違えた。」
「善逸、今行方が分からないんだ。昨日の夜から連絡が取れなくなった。」
「お前らはもうここから出ろ、階級が低すぎる。ここにいる鬼が上弦だった場合、対処出来ない。消息を絶った者は、死んだとみなす。」
善逸の生存を信じる俺は、無意識に手を握りこんでいた。
師範は立ち上がった。
「後は俺ひと「俺たちでやるよ。」
一人で抱え込もうとした師範の言葉を遮り、俺もその荷を背負うと勝手に修正した。
嫁三人衆の捜索もそうだけど、一番は俺の
「いいえ、宇髄さん!鏡月さん!俺たちは「恥じるな。」
炭治郎の言葉を遮って、生きている奴が勝ちなんだ、と言った。
伊之助の制止の声を聞かずに、一人先にこの場から離れてしまった。
「宇髄さん……」
「階級が低いからって師範言ってるけど、杏寿郎が繋げた命を無駄にさせたくないからだよ。」
「だからなんだってんだ!こっちは仲間の紋逸がやられてんだ!おいっ、むらさき!俺たちは出ていかねぇぞ!!」
「……聞かなかったことにするよ。」
良い仲間がいるね、なんて思いながら俺もその場から離れた。
───
日が暮れ、鬼の時間が迫ろうとしている今。
師範がどこかへ行こうと、腰を上げた。
「…
「ちっ……日本語喋れっての。」
「どこ行くの、師範。」
「…………京極屋。」
「そう。」
一言二言言葉を交わしてから、師範は忍特有の速さで離れていった。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時