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「紫音は知ってるだろうけど…俺の嫁は三人とも優秀な女忍者……くノ一だ。花街は鬼が潜む絶好の場所だ、と俺は思っててな。俺が客として潜入した時、鬼の尻尾は掴めなかった。だから、客よりももっと内側に入ってもらったわけだ。」


それでか、と腹立たしさとは別に腑に落ちたものがあった。
ここ三ヶ月程、担当地区の見廻りや任務以外でも姿を見なかったのだ。
嫁三人衆がいない理由は聞いていたが、師範がいない理由は聞いてはいなかった。
鬼殺隊の柱であるのだから、と忙しいのは知っていたから。


「既に怪しい店は三つに絞ってあるから、お前らはそこで俺の嫁を探して情報を得る。」


ときと屋に須磨。
荻本屋にまきを。
京極屋に雛鶴。


「嫁、もう死んでんじゃね?」


希望も何も無い伊之助の言い方に、さすがの俺も頭にきた。
嫁三人衆の旦那である師範の拳が伊之助の腹に叩き込まれる前に、俺の前回し蹴りが腹へ入った。


「雛鶴さんたちが、そんな簡単にやられるわけないよ。須磨さんは確かに味噌っかすだけど。」

「お前が言うな……っ!」


行き場を失った師範の拳が、俺の脇腹に突き刺さる。
未だに俺の腕の中にいる善逸が、嫁三人衆のこともあってか余計に師範への睨みを強めた。


「ちょっとぉ!紫音が自分の弟子だからって、ボカスカボカスカ殴ることないんじゃないの!?え、何!?それとも師範とか師匠とかって、弟子殴る趣味でもあるの!?いーーーやーーーーーっ!!!!!怖いィィィィィっ!!!」


師範へ文句を言っていたかと思えば、次に口から出たのは汚い高音だった。


「あーもー!喧しいなっ!」

ありがとう(サンキュー)、善逸。俺は平気だよ。」


師範の拳には、もはや慣れた。
それ以上に雛鶴たちを怒らせて飯抜きされる方が、堪える。
そこへ、屋敷の主人が部屋へやってきた。


「ご入用の物を、お持ちいたしました。」

「……どうも。」


師範の機嫌は、降下したままだ。
炭治郎がありがとうございます、と礼を言って、主人から箱を受け取った。


「紫音、お前あっちの部屋でその黄色い頭の仕度してこい。化粧も出来るだろ。」

OK.(分かった。)

「え?俺、ここでも平気だけど……」

「駄目、善逸は俺と向こうだよ。」


師範は善逸が煩わしいから、離そうとしたんだろう。
俺としては好都合。
本人は気にしていないようだが、善逸の体には鬱血痕がたくさんついているのだ。
付けたのは、もちろん俺。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時

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