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｢俺たち、だと？｣
師範同様に疑問に思った俺だったが、視界に入ってきた二人の片方に眉間にシワが寄ったのを感じた。
｢なんだてめぇら。何が言いたい。｣
｢今帰った所だが、俺は力が有り余ってる。行ってやってもいいぜ？｣
被った猪頭の中で、ドヤッた顔をしてるのが安易に想像出来る伊之助。
｢ア、ア、ア、アオイちゃんをは、は、は、離してもらおうかぁぁぁ！例えあんたが、き、筋肉の化け物でも！お、お、俺は！｣
ビビりながら師範に噛み付く善逸。
三人の意気込みを見て、師範は視線をあらぬ方へ向けて三人へ一緒に来ることを許可した。
もちろん、逆らうなよ、と釘を刺すのを忘れずに。
───
｢師範、納得いかない。｣
｢何がだ。｣
｢善逸がこの任務に同行することが、だよ。炭治郎と伊之助も同行してほしくないけど、善逸は駄目。｣
｢あぁ？本人が行くって言ってんだ、お前がどうこう出来るもんじゃねぇだろ。｣
｢それでも、駄目。｣
筋肉隆々で柱の男に詰め寄る俺に、後ろの三人が困惑しているのが音で分かった。
特に、善逸だ。
｢で？どこに行くんだ、オッサン。｣
｢日本一欲と色に塗れたド派手な場所、鬼の棲む遊郭だ。｣
｢遊郭？｣
｢いや……あれだよ……わかんない？…あそこ…え……わかんない…？｣
分からない炭治郎に言葉を濁して教えようとしている善逸は、遊郭がどういった場所なのかを知っている様子だった。
｢善逸、どんな場所か分かってるんだね？だったら、蝶屋敷で留守番してて。｣
｢え…なんで？｣
｢なんでって…｣
善逸を汚していいのは俺だけで、遊郭に行って欲しくないのは単なる俺の我儘だ。
｢へー、そいつがお前の大事な奴か紫音。｣
｢だったら何？｣
俺たちのやり取りを見て、そう声をかけてきた師範。
半身振り返って軽く睨むが、向こうは馬鹿にしたように笑っている。
｢留守番させようとするとか…護る自信ねぇんだな。｣
｢何言ってるの、あるよ。｣
｢なら、連れてっても問題ねぇよな？｣
師範に煽られ強がれば、簡単に言質を取られた。
俺が覚悟を決めている傍らで、善逸は俺と一緒にだとどこか嬉しそうだった。
｢
｢…言ってろ、クソ弟子。｣
異国語で言ったにも関わらず、表情とニュアンスで理解されて買い言葉が返ってきた。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月11日 22時
