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単身任務を終えて、俺は宇髄家へと帰ってきた。
シーン、と静まり返った室内に師範も出ていることを悟った。


「遊郭か。」


ブーツを脱いで、宛てがわれた部屋へと向かいながら俺は紫水晶の額当てを外す。
部屋の障子を開けると、鴉が一羽卓の上に鎮座していた。


「あれ…師範の…」


師範とお揃いの飾りを付けた鎹鴉の虹丸が、俺の方を向いた。
首が動けば、必然的にシャラリ、と飾りが鳴った。


「天元カラ伝言。"連絡途絶エタ出ル。蝶屋敷ニ来イ"。」

「ん…弟子使い荒いよ、師範。仕方ないけど……」


息付く暇も無く、俺は額当てをつけ直し踵を返して玄関へ向けて廊下を歩く。


「けど、なんで遊郭直じゃなくて蝶屋敷なわけ?」

「女隊士ガ必要ダッテ言ッテタゼ。」

「……What are you thinking.(何考えてるの。)


虹丸から師範の零れた言葉を伝えられた途端、俺は頭が痛くなった。
履き慣れた黒のブーツに足を入れ、つま先をトントン、として馴染ませ玄関を潜り外へ出た。


───

蝶屋敷へ辿り着いた俺は、屋根の上から騒がしい門前へと近づいていく。
どうやら、炭治郎が師範に異議申し立てしているらしかった。


「俺は上官!柱だぞ!」

「俺はお前を柱だと認めない!むん!」

「むん!じゃねぇよっ!」

「何してんの、師範。」


呆れた眼差しで師範を見てれば、肩に担がれたアオイと目が合った。
怯えきった目で、俺に助けを求めてきている。


「来たか…任務で女の隊員が必要だから、コイツらを連れていく。継子じゃねぇ奴は、胡蝶の許可も要らないからな。」

「理由は分かった。けど、なほちゃん隊服着てないよ。」


そう言うと師範は、なほちゃんをじっと見たかと思うと、じゃあ要らね、と門の下へと落とす。
落ちてくなほちゃんを眺めてれば、下で炭治郎がキャッチしていた。
なほちゃんを投げ落とした師範を、炭治郎は人でなしと罵る。


「とりあえず、こいつは任務に連れていく。役に立ちそうもねぇがこんなのでも一応隊員だしな。」


師範の肩で、絶望だとでも言う様な表情をアオイはしている。
嫁三人衆には優しい癖に、どうでもいいと思ってる相手にはそんな欠片を一片たりとも見せない。


「人には人の事情があるんだから、無神経に突き回さないでいただきたい!アオイさんを返せ!」

「温い、温いねぇ。このようなざまで地味にグダグダしているから、鬼殺隊は弱くなっていくんだろうなぁ。」

「アオイさんの代わりに、俺たちが行く!」

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時

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