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俺の怪我が治って、機能回復訓練でも大丈夫をもらった翌日には任務が入った。
炭治郎曰く、チュン太郎は俺よりも階級が上の隊士との合同任務だ、って言ってるって言われた。
嫌だ嫌だ、と駄々をこねる俺をチュン太郎はツンツンツンツンつつきまくって蝶屋敷から出した。
「上位階級の鬼殺隊員か…アイツだったら嫌だな。」
指定された任務地に向かいながら、そうこぼした。
アイツって言うのは、俺と同門の兄弟子である
事ある毎に、俺の事を馬鹿にしてくる。
俺は壱ノ型しか使えないけど、獪岳は逆で壱ノ型が使えない。
なんの意味があって、神様はそうしたのか知らないけどね。
「アイツだったら…逃げようかな。」
鬼、怖いし。
獪岳、嫌いだし。
死にたくないし。
───
「紫音、だ…大丈夫?」
任務地に着いた俺を待っていたのは、嫌いな獪岳でも嫌な性格してる先輩隊士でもなかった。
無限列車の任務に着く前に、恋仲になった男・鏡月 紫音だった。
その紫音は、鬼の攻撃を受けそうになった俺を庇って負傷。
生死に別状はないけど、藤の花の家紋の家で治療を受けた。
切り裂かれたのは背中だけれど、包帯が胴体を回っている。
「ん…
「異国語分かんないって…俺はかすり傷一つもないけど、紫音が…」
「善逸が怪我したら、俺どうにかなるから。守れて良かったよ。」
薄ら笑う紫音を、俺は眉を下げて見つめるしか出来なかった。
───
紫音の傷が塞がり、明日には任務へ復帰することになった俺たち。
久々の湯浴みを終えた紫音が、上裸で部屋へと戻ってきた。
「エッ……ロ…」
「…顔真っ赤だね。」
不可抗力で直視してしまった紫音に、逆に指摘されて尚更顔に熱が集まる。
けれど、窓側の卓に紫音が着くと自ずと背中の傷に目が行く。
斜めに付いた、真新しい傷。
"守って"とお願いした過去の自分に、罪悪感を抱きながら俺はそっとその傷を指先でなぞった。
「んっ…くすぐったいよ、善逸。」
「…痛そう、だね。」
「…痛くないよ?今は、善逸のせいでくすぐったいけどね。」
虫の声が聞こえる夜に、好いた相手に触れれば魔が差すっていうもので。
気付いた時には、俺は紫音に見下ろされていた。
「
「…だから、異国語分かんないって。」
「黙って…」
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時