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俺と善逸が機能回復訓練を始めて、数日が経った。
｢善逸、今日も行かないの？｣
｢行かない…行きたくない。｣
｢そろそろ訓練に行かないか？伊之助。｣
あの猪突猛進な伊之助も、善逸同様に動こうとしない。
｢善逸。｣
炭治郎が名前を呼んだ瞬間、善逸はすっくと立ち上がり窓の外を見やった。
｢うん、俺にしてはよくやった。紫音も、そう思うよね？ね？｣
｢うん、泣き虫たんぽぽの善逸が泣かなかったからね。よく頑張ったよ。｣
偉い偉い、と俺が頭を撫でればエヘヘ、とデレッと善逸が笑った。
炭治郎からは、俺に対する非難の音が聞こえてきているが無視だ。
｢善逸、俺は行ってくるよ。｣
｢分かった、いってらっしゃい。｣
見あげてそう言った善逸に、俺は頭を撫でていた手を後頭部に持っていきそのまま
｢鏡月さん、行きますよ。｣
触れるだけのものになってしまい、口惜しげに離れるとそれは善逸も同じだったらしく不満の声が漏れ聞こえた。
───
｢鏡月さん、どうして善逸に訓練に出るよう説得してくれないんですか？｣
｢説得するのは簡単だよ、言えばいいんだから。｣
機能回復訓練へ向かう最中、廊下で炭治郎はそう俺に尋ねてきた。
｢炭治郎もここ何日か、善逸を説得してるよね。｣
｢でも、善逸は訓練に出ようとしません。それじゃあ、意味が無い。｣
｢でも、出る出ないの選択は善逸の意思だよ。逆に聞くけど、炭治郎は善逸に訓練に出てほしいわけ？｣
そう聞けば、答えは一つで炭治郎は、はい、とすぐに返してきた。
｢出てほしいなら、炭治郎が善逸を無理やり連れていけばいい話だよ。｣
｢え…でも…｣
｢無理やりは駄目って、分かってるんでしょ？なら、善逸がやる気出すまで待ってあげて。｣
俺こっちだから、と言って俺は炭治郎とは別の方へ歩いていく。
｢鏡月さん！なら…伊之助は！伊之助も待てばいいんですか！？｣
｢さぁ？
後ろ手で手を振って、師範の待つ場所へと足を進ませた。
───
｢お前、あとどれ位で派手に退院するんだよ。｣
｢まだひと月経ってない……っ！｣
｢なんだ、丸々ふた月あるのか…地味だな、地味。｣
｢地味言うなって！それっ…海老反り固めだから…っ！｣
師範、柔軟と関節技の区別ついてないよね。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月11日 22時
