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｢なれるかなれねぇかなんてっ、くだらねぇこと言うんじゃねぇっ！信じると言われたならっ、それに応えること以外考えんじゃねぇっ！死んだ生き物はっ、土に還るだけなんだよっ！めそめそしたって、戻ってきやしねぇんだよっ！悔しくてもっ、泣くんじゃねぇっ！｣
泣きながら、そう吠える伊之助。
馬鹿だ阿呆だ野生児だ、と思っていたが、その言葉は真理だった。
どんなに惨めでも、恥ずかしくても、命ある者は生きていかなければならない。
｢お前も泣いてるじゃん…被り物から溢れくらい涙出てるし。｣
そう事実を口にした善逸に、伊之助は超反応で頭突きしようと突っ込んできた。
すぐに間に割って入り、腕を体の前で
｢いっ…！｣
｢おﾞれﾞは泣いてねぇっ！｣
｢紫音！？｣
背後から善逸に心配される俺を他所に、頭突きした張本人は泣きながら走り出した。
炭治郎にも修行だ、と言って、隊服の襟首を掴んで促す。
だが立つことも出来ぬ程に泣いている為、伊之助がポカポカ、と炭治郎の頭を叩いていた。
そんな後輩を見て、俺は空を仰ぎ見た。
憎たらしい程に、天気がいい。
そんな空を、一羽の鴉が飛んでいた。
｢要ヨ。…最後ノ仕事、デスッテ。｣
｢………そう。｣
｢…嫌ヨ？私、訃報ヲ知ラセル仕事ナンテ。｣
｢させないよ。…
傍らの音のしない煉獄を、俺は見下ろした。
バタバタ、と複数人の足音がしたかと思えば、隠がやってきた。
｢鏡月さん！…指示を。｣
一人の隠の言葉で、ハッ、とさせられた。
柱である煉獄が散ったということは、この場で最高位になるのは俺。
｢ん…杏寿郎を、連れ帰ってあげて。それから、杏寿郎が守りきった人たちも。｣
｢はい…っ。｣
俺は徐に煉獄の手から、刀を受け取った。
鬼によって、折られてしまった日輪刀。
｢…千くんに渡す方がいいかもしれないけど、君はそれを望まないだろうね。｣
そう呟いて、俺は刀の鍔を外した。
折れてしまった刀身と柄は、近くの隠へ渡す。
外した鍔を持って、俺は炭治郎の下へ足を運ぶ。
｢炭治郎。｣
未だに零れ落ち続ける涙をそのままに、炭治郎は俺に視線を向けた。
｢杏寿郎の意思を、君に。｣
そう言って俺は、炭治郎の手に炎の形をした鍔を握らせる。
｢煉獄…さん…っ！｣
｢泣くんじゃねぇっ！！｣
｢おいで、善逸。｣
｢紫音…っ！｣
｢甘やかすなっ！｣
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月11日 22時
