56 ページ12
｢おーい。お前、いつまで寝てる気だ？朝餉の時間、派手に過ぎてるぜ？｣
師範の声がする。
あれ？俺…善逸たちと…って誰だ？
｢
｢いや、起きろよ！布団から出ろ！｣
｢
｢地味に微睡んでんじゃねぇよ…っ！｣
ゴチンッ、と頭に拳を落とされ、俺は頭を抱えながら体を起こした。
｢っ…痛いよ、師範。｣
｢起きねぇお前が悪い。｣
フンッ、とあらぬ方を見てる師範をジトーッ、と睨む。
そこにまきをが入ってきて、顔洗ってきな、と手ぬぐいを渡された。
───
顔を洗う為に桶に汲んだ水に、俺の顔が映る。
寝起きの頭で、ボーッ、と眺めてれば水に映った俺は、独りでに喋り出した。
《鬼に攻撃されてるよ、早く起きて。善逸、守らないと…！》
｢きゃあっ！｣
後ろから聞こえた悲鳴の後に、俺は何かに押されて水の入った桶は下へと落ちた。
振り向いて押したのは何だ、と確認すると嫁三人衆の一人である須磨だった。
｢いたーい！｣
｢…何してるの、須磨さん。｣
何も無いところで転んだらしく、顔面から地面に
｢須磨さん、ドジだよね。くノ一なのに…｣
｢紫音くん、ひどぉぉい！確かにみそっかすだけどちゃんとくノ一ですよっ！｣
須磨の涙目はもはや通常運転。
俺が苦笑っていれば、そこに雛鶴が通りかかって涙目の原因を須磨が俺のせいにするのは、宇髄家の日常だろう。
その光景を見ながらも、俺の頭には"鬼に攻撃されてる"っていうのが引っかかっていた。
───
いつもの様に鍛錬して、師範と手合わせの為に打ち合う。
派手に爆音が鳴り響いて、地面にもボコボコ穴が開いている。
そんな中で俺は膝をつき、首には師範の竹刀。
｢派手に首を斬れ。｣
｢なんで…｣
｢お前はここにいちゃならねぇからだ。今は煉獄と一緒に無限列車の任務についてるんじゃねぇのか？｣
｢…みんなと、居たい。｣
懇願する様に師範を見るが、冷たい眼差しで俺を見下ろしていた。
｢駄目だ。お前は、首を斬れ。お前が帰るところは、ここじゃねぇ。…待ってる奴がいるんだろ？｣
｢…善逸……！｣
途端、俺の着流しは隊服に変わり手には二対の日輪刀。
それを首へ宛てがって、何も考えずに動かした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月11日 22時
