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｢毎日毎日地獄の鍛錬で、死んだほうがマシだってくらいのぉぉ！！最終選別で死ねると思ったのにさ？運良く生き残るから、未だに地獄の日々だぜ！！｣
俺の腕の中から抜け出て、善逸は頭が地面に着くほどに反り返り怖い怖い、と言う。
｢きっともうすぐ鬼に喰われて死ぬんだ！生きたまま耳から脳髄を吸われてぇ！？イィィィィヤァァァァアアアッ！！！！タァスケテーーーーーッ！！！｣
絶望、と言わんばかりに叫んだかと思えば、助ける、守ると一方的に言った俺にまた縋り付いてきた。
｢大丈夫、俺が守るから。｣
可愛い、と思いながら背中を撫で、善逸に落ち着くよう深呼吸させる。
｢鏡月さん、知り合いなんですか？｣
｢初めましてだよ、さっき言ったじゃん。後輩に会うのは初めてだって。｣
｢なら、なんで守るとか助けるとか…同じ剣士ですよ！？｣
｢同じ剣士だと守っちゃいけないわけ？剣士である前に、同じ人だけど。｣
炭治郎にそう言えば、いやいけなくはないですけど、と言葉を濁した。
｢善逸、落ち着いた？｣
｢うん…ありがとう、紫音。｣
そっと俺の胸を押して離れようとする善逸にそう聞くと、少し俯いて礼を述べた。
｢善逸も落ち着いたし、鏡月さん。南南東へ向かって歩きましょう。｣
｢そうだね。善逸、立てる？歩けそ？無理なら、お姫様抱っこするよ？｣
おいで、と膝を着いたまま腕を広げるが、立てるし歩けるから、と遠慮された。
遠慮しなくてもいいのに。
───
長く続くあぜ道を、炭治郎、善逸、後ろに俺という並びで歩いているとぐぅぅぅっ、と腹の虫の声が耳に届いた。
｢はい、善逸。｣
｢え？｣
腰の袋にしまっていたおにぎりを、前を歩く善逸へ差し出す。
｢俺、何も言って……｣
｢君の腹の虫が、俺に教えてくれたよ。｣
｢そんなの聞こえなかったですよ？隣歩いていたのに。｣
｢俺、耳良いから聞こえたんだよ。｣
そう言って右手の人差し指で右耳をトントン、と叩けばピアスも一緒に揺れる。
｢ありがと…落ち着いたら、腹減ってきたんだけど食うもの持ってなかったから……｣
｢そうか、ほら、食べなよ。｣
そう促せば、善逸はおにぎりを受け取って食べ始めた。
｢それならそうと、言ってくれればいいのに。言わないと分からないぞ、善逸。｣
｢人の事言えないんじゃないの、炭治郎。｣
｢うっ……バレているのか…｣
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月1日 18時
