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だけど、同じ音の呼吸を使うならこの形の刀が適しているんだろう。


「ホンット、派手に可愛くねぇよな。お前。」

「俺に可愛さ求めるのがおかしいよ、師範。」

「日輪刀は別名"色変わりの刀"と呼ばれる物。持ち主によって、刀の色が変わる。小僧、抜いてみろ。」

「この宇髄天元様と同じ呼吸を使うんだ、派手に同じ色だと俺は思うぜ。派手に(・・・)な!」


隣の師範を一瞥しながら、俺は刀を手に取った。
ズシッ、とした重みはあるが片手で持てない重さじゃない。
二対の刀を鞘……というよりは、布が巻いてあるだけだがそれを外し両手に持つ。
すると、根元の方からズズズッ、と刃の色が変わった。


「はぁぁぁぁぁぁああああ!?!?なっっっっっんだ、その糞みたいな色はっ!!!!!」


目の前のひょっとこが、般若にでも変わったかの如く俺を責め立ててきた。


「俺はド派手な金色になると思ったんだっ!!!!返せ!!!打ち直すっ!!!」

「まぁまぁまぁまぁ、鐡さん。日輪刀は持ち主で色を変える代物だ。これがコイツの色、なんだろうよ。……地味だけど。」

「返さないよ、もうこれは俺のものだ。」


今にも襲いかかってきそうな鐡を、自慢の筋肉で宇髄が抑えてくれていた。
紫紺色に輝く刀身に、俺は無意識に口角を上げていた。


「いいか、小僧!折ってみろ、失くしてみろ。その時は二度と俺は小僧に刀など打たぬからなっ!!!」


鐡はそう言い残して、刀鍛冶の里なる場所へと帰って行った。
見送った俺の肩に、鎹梟の紫衣奈が静かに舞い降りた。


「紫音、初任務ヨ。」

「おまっ…それ、梟か!?」


初めて見る俺の鎹梟に、師範は声を上げて笑いだした。
それを不服だと言わんばかりに、紫衣奈は嘴をカチカチ、と鳴らしている。


「普通鴉だろっ!ぶふっ…!なんで梟だよっ!ははっ!」

「失礼シチャウワ。行クワヨ、紫音。」

「師範、もう行くよ。」

「待ちな!」


歩きだそうとするとまきをに、引き止められた。
振り返れば、嫁三人衆が並んでいる。


「天元様、これを。」

「おー、そうだったそうだった。派手に忘れてたわ。入隊祝いだ、受け取れ。」


差し出されたのは、紫水晶をあしらった額当てだった。
師範と色違い。
口にはしないが、少し嬉しかったりする。


「頑張っといで!」

「ちゃんとご飯、食べるのよ?」

「死なないでねぇぇぇ!?」

「行ってくるよ。」


別れのハグを三人に。
視界の端で苛つく師範が見えた。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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