44´ ページ50
｢善逸は…？｣
｢お、俺は…｣
目の前の紫音は、眉尻を下げて俺を見つめてる。
けど、それはいつも見ていた真剣で優しい紫音だった。
自覚したのはついさっきの話。
言わなくても、知られてそうだけど…言わなくていい訳じゃない。
｢…やっぱり、禰豆子には勝てないかな。｣
｢違う！禰豆子ちゃんは女の子だろ？女の子はみんな可愛いから…｣
｢分かるよ、乳房が大きければ見るし。｣
｢良かった…じゃなくて！女の子は今はいいの！！確かに俺は、女の子ばっかり追いかけてるけどさ！それはもう、癖みたいなもんなんよ！そんな俺が、言っても信用とかないかもしれないけど！俺は！紫音のことが…っ！｣
心臓が今にも口からまろび出そう。
ドキドキドキドキ、凄くうるさいし。
もう、これ聞こえてるよ。
今更かもしれないけどさ。
｢うん。｣
微笑む紫音が、思った以上に破壊力抜群で俺は今日が命日かもしれないって一瞬思った。
｢好き…っ！俺っ、紫音のこと……好きだっ！｣
目をギュッ、と瞑ってそう言った。
うんもすんもないから、そっと目を開ければ鳩が豆鉄砲くらってた。
｢え、紫音…？だ、大丈夫？｣
｢あ…
｢好きだけどね！？禰豆子ちゃんも！けど、なんていうのかな…紫音に対する好きと禰豆子ちゃんへの好きは違うっていうか…｣
｢LoveとLikeの違いだね。｣
｢いや、分かんないからっ！｣
異国語を話す紫音に、分からないって言うまでがいつもの流れで思わず笑いが零れた。
｢分かんないけどさ、たぶんそういうことなんよ。…責任とってよね、紫音。｣
｢取るよ。手も、足も。必要なら、腰も。｣
｢……その顔で、そういうこと言うなよ。｣
｢仕方ないよ、男だから。｣
そう言った紫音は、未だ知らない紫音だった。
｢俺も、男なんだけど。｣
｢関係ないよ、好きになったのが善逸で男だっただけ。｣
｢そっか…｣
｢そうだよ。｣
そう言う紫音が、やたらかっこよく見えて目が逸らせなかった。
｢魅入ってるとこ悪いけど、善逸。薬の時間だから、病室戻るよ。｣
｢ちょっとぉぉぉ！！なんで、そこで現実突きつけてくるのっ！？｣
｢
｢耳元やめて！？てか、分かんないからっ！！｣
｢行くよ。｣
響いた俺の悲鳴。
───
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年6月1日 18時
