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むくれる善逸に、未だ元の長さに戻ってない手を寝台につけて触れるだけの接吻(キス)をした。
鼻先が触れそうくらいの距離で、善逸を見つめていると何をされたか初めはキョトン、としていたが理解した途端に真っ赤な顔で短い腕を突っ張ってきた。


「なっっっっっにすんだよっっ!!」

「何って…同じ薬かどうか、確かめるんだよね?」

「だからって!せっ……接吻するかぁぁっ!!!」

「……接吻(キス)は、挨拶だよ?」

「違うわぁぁぁぁぁっ!!!!」


目の前でぎゃあぎゃあ騒ぐ善逸を見ながら、平然としているけど心臓はここ最近で一番騒がしい。


「善逸!うるさいぞ!廊下まで声が聞こえてる…何があったんだ。」


どこかに行っていた炭治郎が戻ってくるなり、そう注意してくる。


「何も無いよっ!全くね!?」

「嘘は良くないぞ?それに、顔だって真っ赤…まさか善逸!熱でもあるのか!?」

「違うからっ!いや、違わないけど違うからっ!」


炭治郎は何を言ってるんだ?、と首を傾げ訝しげに俺たち二人を見ている。


「何も無いならいいが…あ、そうだ。鏡月さん、胡蝶さんが呼んでましたよ。」

「しのぶが?なんだろ…」

「"ごめんなさい、紫音くんの薬間違って砂糖を出してました"って話じゃないの。」

「善逸、今度はちゃんと味を(深いキスで)確かめてみる?」


俺がそう聞けば、しないっ!!!、と結構な勢いで断られた。
そう、と困った様に笑って、俺は善逸の寝台から降りた。


「紫音?」

「炭治郎、しのぶどこにいるか分かる?」

「診察室にいるって、言ってました。」


居場所を聞いて、俺は短い足で一週間前よりは早く歩いて診察室を目指した。


「それで、善逸。何があったんだ?」

「……言えない。」

「言えないって…」

「けどけど俺!……紫音のこと、好きみたいだ…」

「やっと言ったな、善逸。」

「やめて…俺の匂い、嗅ぐのやめて…」


そんな会話がされてることなんて、俺は知る由もない。


───

「しのぶ、来たよ。」

「紫音くん、すみません来ていただいて。」


診察室に入り、しのぶの前に座る。


「…何故そこに座るんですか?」

「患者、だから。」

「診察しないですよ。」


だからこちらに、と違う椅子を勧められる。
診察でもなければ何の話だ?、と俺は眉間に皺を寄せた。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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