36 ページ40
十分後に、手足の痺れ。
更に十分後に、目眩と吐き気。
その五分後には、激痛に襲われ体が縮み始め失神するという。
「そして、目覚めた時には…クフフヘヘヘヘッ!」
「善逸を脅すな…!」
俺は刀の柄に手を伸ばし、ギリッ、と握りしめる。
その時、カチッ、と時計の針が一つ進んだ。
「ぎゃあああ!ぎゃあああ!!」
悲鳴をあげる善逸の足元に、群がり出す人間だったであろう成れの果て。
そこから逃げるように走り出す善逸。
「逃げても「無駄ね!はいはいはい!分かってんだよ!わかってんのぉーっ!」
そしてそのまま木を登った。
猿か、と言いたくなるような速さで木を登った善逸。
「何してんだ、お前!」
「うるせぇよ!うるせぇ〜!」
比較的太い枝の上で、善逸は蹲りそう言う。
「善逸!!」
「怯えることはないぞ?毒が回りきって蜘蛛になったら、知能も無くなる!」
「いやっ!だから、それが嫌なんだわそれがっ!なんで分かんないの!?お前さー!友だち、恋人いないだろ!嫌われるよーっ!?」
「チッ!毒を追加させられて、早く蜘蛛になりたいようだな!」
「蜘蛛の分際で善逸を脅すな…」
木の上で、ヒィィィィッ、と善逸が怯えてる。
理由はそれだけで十分だった。
「待ってて、善逸。
もはや、蜘蛛だからという恐怖は俺の中からなくなっていた。
鬼なら話は早い。
悪鬼滅殺のみ。
「俺だって精一杯頑張ってるよ!なのに、最期は髪ずるむけで化け物になるの!?」
「ならないよ…させないっ!」
善逸のいる木を、人であった者たちがカサカサと登っていく。
一人にして、と懇願する善逸が髪を掴んだ時、なんの抵抗も無くそれは手の中に収まった。
それを見た途端に、善逸は気を失ったらしくそのまま下へと落ちる。
「善逸!」
「なんだこいつは…俺たち一族を殺しに来た、鬼狩りではないのか?」
咄嗟に走り、善逸が地面に接触する前に抱き留めた。
君をこれ以上傷も怪我もさせない。
「
師範の口癖まで、いつしか俺は継いでいたらしい。
善逸、こんなところに一人にするのを許してくれ。
「ド派手に行くよ。」
21人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時