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「だからぁぁっ!」
「悪夢から覚めてくれ……っ!」
「って、なんで俺っ!?そこは、禰豆子ちゃんでしょー!?てか!死んだら守れないでしょーがっ!俺、一人になっちゃうでしょーがっ!」
「
「分かんないからっ!名前しか分かんないからっ!」
互いに感情的になりながらも、場所を把握しようと前を向く。
広い場所には出たが、そこには蜘蛛の糸らしいもので吊るされた人間たちがいた。
髪のない人間や、鬼殺隊だと分かる隊服を着ている人間まで。
「何あれ、何あれ、何あれ!?」
「人間が…蜘蛛になってる…の?」
「家、浮いてんの!?」
「月明かりでちらついてるのは…糸?」
「そして
鼻を摘み臭いから逃れようとするが、喉まで痛くなる程の臭いからは逃れられないらしい。
そのせいで、生理的に涙が目に滲む。
そして、目も痛い。
吊るされた家から音がすると思ったら、逆さまの大きな人面蜘蛛が降りてきた。
「でかっ!でっか!でかいわぁっ!でかすぎるよっ!」
降りてきた人面蜘蛛は、俺たちを見て笑った。
「俺!お前みたいな奴とは!口聞かないからなっ!」
善逸は、そう吐き捨てるとくるり、と踵を返して走って逃げた。
俺も今すぐ逃げたいが、目の前の人面蜘蛛から鬼の音がする為震える足に力を入れてその場に留まった。
「逃げても無駄だぜ、お前たちはもう負けてる。」
「適当言うな、気安く善逸に話しかけないで。嫌いだって言ってるの、分からないわけ?…ちなみに、俺もだから。」
「もう分かってんだろぉ?やばい事になったって!」
「どういうこと?」
そう問えば、目の前の人面蜘蛛は手を見るよう言ってきた。
言われるまま、自分の手を見ると変色していた。
俺の好きな紫色ではなく、禍々しい紫に。
「これは…」
背後から善逸の声がして、ああ、見たのか、と思い至る。
「毒、だね。」
「ご名答!噛まれたろぉ?蜘蛛に。お前たちも蜘蛛になる、毒だ。」
何がおかしいのか、人面蜘蛛はケタケタ、笑っている。
四半刻後には、人面蜘蛛のど隷と化し地面を這うことになるという。
人面蜘蛛は時計を出し、針が一周すると俺たちは蜘蛛になると丁寧に説明してくれた。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時